じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
岡山→羽田便から眺めた大室山(サムネイル参照)と富士山。気象庁火山情報にも解説されているように、大室山は伊豆東部火山群の中の最大の火山であり、周辺では時たま地震や噴火が観測される。
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【思ったこと】 _60205(日)[心理]サステイナビリティ学が拓く地球と文明の未来(2)小宮山・東大総長の講演 東大・安田講堂で行われた ●サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) 公開シンポジウム:「サステイナビリティ学が拓く地球と文明の未来」 (2006年 2月 4日 (土) 13:00 〜 17:00 東京大学・東アジア研究型大学連合(AEARU)・日本経済新聞社 共催) の感想の2回目。 小池・環境大臣による記念講演に引き続き、小宮山・東大総長(サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S)機構長)による ●「サステイナビリティ学の創生:『課題先進国』日本からの発信」 というテーマの基調講演が行われた。 小宮山氏のお話で特に大切であると思ったのは、
小宮山氏はまず、20世紀は「膨張の世紀」として特徴づけられることをいくつかのデータに基づいて指摘された。この100年のあいだに、世界の人口は3.5倍、穀物生産(米、小麦、トウモロコシなど)は7.5倍、エネルギー消費は20倍、CO2排出量は1.23倍というように膨張した(←あくまで長谷川のメモに基づく)。そして、これまで局所レベルで問題となったことが地球全体に影響を及ぼすようになってきた。 じつは、こうした膨張は「知」においても起こっているのである。例えば、我々が子どもの頃に習った光合成の知識は、日光、水、酸素、二酸化炭素だけからなるシンプルなものであったが、そのメカニズムに関する「知」は今や数百倍、数千倍にも膨張し、1人の人間の頭脳では到底カバーしきれなくなってきた。 ここでちょっとツッコミを入れさせていただくが、小宮山氏が提示された光合成のスライドは前にも拝見した記憶があった。東大の研究組織が学部自治の時代から何十にも細分化していったかを図示したスライドも見覚えがあった。 Web日記のログを辿ってみたが、どうやら2004年6月12日のシンポでも使われたのではないかという気がしてきた。あの時のシンポは、 ●新生記念シンポジウム「智慧の環・学びの府:せめぎあい、編みあがる情報知」 というテーマであったが、今回は、同じ智慧の環であっても、サステイナビリティ学ということで具体的な方向性がはっきりしている。最高学府である東大を頂点としたネットワークがこの問題に真摯に取り組むことは大いに意義があると思う。 もとの話題に戻るが、とにかく、専門領域は細分化され、1つの領域内では当たり前のこととして受け止められている前提や「常識」が、他の領域では通用しなくなっている。21世紀は、そういた細分化された「知」の構造化が必要であるというのが、基調講演の第一の論点であった。 さて、それではなぜ日本でサステイナビリティの研究を行うことに意義があるのか。ここに『課題先進国』日本という発想が出てくる。周知のように今の日本では
ところで、今回のシンポのキーワードである「サステイナビリティ」については、 で、分かりやすい講演を拝聴したことがあった。このうち後者の講演者は、中島恵理・環境省地球環境局地球温暖化対策課係長(当時)であり、今回の小池環境大臣の配下ということになるが、今回は、「ローカライゼーション(localization)」やエコマネーについての言及は一切無かった。サステイナビリティについて取り組みの流れがどこまで連携できるのかについて、もう少し調べてみたほうがよさそうだ。また、私の大学は「自然と人間の共生」を理念にかかげておりサステイナビリティに関する研究でもそれなりの成果をあげているはずなのだが、東大を中心とした今回のIR3Sのプロジェクトには加わっていない模様だ。このあたりも調べておこうと思う。 もう1点、過去の講演では「sustainable」は「サスティナビリティ」とカタカナ表記されていたが、今回は「サステイナビリティ」というように、「サステ」のあとの「イ」が大文字になっている。確かに、英語の発音記号によれば「ティ」ではなく「テイ」と発音するほうが正しい。過去記録はいちいち訂正しないが、キーワードで検索する時は「ティ」と「テイ」の両方別々に入れたほうがよい。ちなみにGoogleno検索では2006年2月6日現在、「サステイナビリティ」で23600件、「サスティナビリティ」で40700件がヒットしている。 次回に続く。 |