じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
写真左は『トンチキプー』(文・北畠八穂、影絵・藤城清治)。1955年12月24日初版発行。150円。写真右は岡山県立美術館で開催されている「藤城清治 光と影の世界展」(5/16〜6/25)の図録。2006年5月発行。2800円。
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【思ったこと】 _60616(金)[一般]藤城清治 トンチキプーから51年。 数日前、岡山県立美術館で開催されている(〜6/25)「藤城清治 光と影の世界展」に行ってきた。 失礼ながら、「藤城清治」という影絵作家のお名前を知ったのは、昨年11月頃の早朝、NHK こころの時代〜宗教・人生〜「光と影の宇宙で」という番組をたまたま視たのが初めてであった。番組で影絵が映し出された時、おやっ、この影絵だったら子どもの頃に見たことがあると思い、私の絵本コレクション(インデックスはこちら)からすぐに見つけ出したのが、↑の写真にもある『トンチキプー』という絵本であった。 この絵本は、私の母親が近くの本屋さんに勧められて買ったものと思われるが、この時は私はまだ3歳ちょっと(インデックスはこちら)であって、細かい文字を読める年ではなかった。しかしそれだけに、初めての影絵が鮮明に記憶に刷り込まれていたのではないかと思う。 今回の展覧会は、一般的な絵画展とはかなり異なった雰囲気があった。普通の絵画は、絵に照明をあてて鑑賞するものであるが、影絵は当然のことながら、裏側から照らす。また、作品によっては、出窓のように引っ込んだところに影絵があって、その手前に水が引いてあり、左右や天井には鏡が配置されており、のぞき込むと、無限大の彼方まで絵の回廊が続くように見えたり、私自身の顔が何百何千と顔を出しているように見える仕掛けがあった。ジプリ美術館の仕掛けをちょっと連想させた。そんなこともあって、館内はけっこう賑やかで、各所で感嘆の声が上がっていた。 筆で描いたようにも見える作品も、老眼鏡ごしに注意深く眺めると、カッターで細かく細工された切り絵であることが分かる。微妙なぼかしは、ガラス面を吹き付けたものだろうか。 作品の1つに「ぼくの散歩(2003年)」というのがあった。ご自身がたくさんの犬を連れて駒沢公園内を散歩しているシーンである(←現実にはそんなにたくさんの犬を同時に連れ出すことは無いらしい)。駒沢公園と言えば、中学時代(1965〜1968)は、毎日この公園の中を歩いて通学していた。ひょっとすると、どこかで藤城先生とすれ違ったかもしれない。 なお、『トンチキプー』初版本は私の宝物の1つなので、私が生きているうちは他人に譲るつもりは全く無い。私が死んだ後は、藤城先生か、北畠八穂先生ゆかりの施設に寄贈するように遺言しておく計画だ。 |