じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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土曜日の朝一番のJAL便で上京、日曜日の最終便で岡山に戻った。所用が予定より早く済んだので、モノレールに乗る前、浜松町の世界貿易センタービルの展望室に上ってみた。この日はあいにく、西の空の一部に雲がかかり、富士山や日の入りを楽しむことができなかったが、眼前の東京タワーを中心とした夜景は絶景。都心を眼下に見下ろす最高所のスポットは東京タワーの特別展望台であると思うが、当然のことながら、特別展望台からは東京タワーを眺めることはできない。「東京タワーを眺める最高の展望台」は、ひょっとして、この貿易センタービルではないかと思ってみたりする。
ところでこのビルだが、私自身はこれまで上った記憶が無く、生まれて初めてであった可能性が高い。ウィキペディアによれば、このビルは1970年3月に竣工。日本初の超高層ビルである霞が関ビル(36階,147m)より2年遅れて竣工、高さで5m上回り、71年6月、西新宿に京王プラザホテル(47階169m)が竣工するまでの僅かな間だが日本一の高さを誇ったという。1970年と言えば、私自身はまだ高3で東京に住んでいたが、受験勉強で忙しいこともあって、上ってみたいという気にはならなかった。最近、映画ALWAYS三丁目の夕日を観た影響で、東京タワーに関心を持つようになったのが、この展望台に上った一番の理由である。 |
【思ったこと】 _70114(日)[心理]遺体切断事件はどこが特異なのか? 貿易センタービルで夜景を眺めていた時(↑の写真参照)、近くにいた中高年の女性グループのうちの一人が、 ●こんなに平和そうに見えているけれども、この街のどこかで今頃、殺人が行われ、遺体が切断されているかもしれないのよねえ。 などと、おしゃべりしていた。 私自身は、テレビや新聞や週刊誌がこの種の事件を半ば興味半分に取り上げることにはもともと反対しており、そういうことを「心理学的」に責任をもって分析できる立場にもない、ニュースのトップ項目として毎日のように大騒ぎされると、一言くらいは何かコメントしておきたくなってくる。 さて、まず、いま話題にのぼっている事件は
これらがマスコミから大々的に理由としてはおそらく、
まず第1の点だが、チベットの鳥葬や水葬のように宗教的目的をもって行われる場合を例外とすれば、一般には、遺体を損壊することは忌み嫌われており、日本では刑法第百九十条: (死体損壊等)によって、独立した犯罪として刑罰の対象にされているようだ。 そのような刑罰があってもなかったとしても、ふつうは、遺体を目の前にすれば、何かしら悔いる気持ちが起こってくるはずだし、四谷怪談の時代ならば怨念に怯えるようになっていたはずだ。いくら憎んでいたとしても、不要になった大型家具のように遺体を扱い、バラバラにしてしまうというのはやはり特異であると言わざるを得ない。 もっとも、だからといってこれらの事件が猟奇的であるとか、宗教心の欠如の表れであると見なしてしまうのは大きな間違いであろう。なぜならば、どちらの事件も大都会で起こっており、いったん人を殺してしまうと、防犯カメラや通行人に気づかれずに遺体を丸ごと運び出すということができにくくなっているからである。 なお、最近になって死体切断事件が増えているといってよいのかどうかも微妙である。この種の事件は、発見者があって初めて表に出てくるものだ。これまでも、類似の事件があったかもしれないが、そもそも完全犯罪というのは定義上は、件数をカウントすることができない(完全犯罪であるとカウントされてしまう犯罪は、もはや「完全」ではない)。 できない。従って増えているのか減っているのかも把握できない。 というように考えてみるに、やはり特異な点は、第二の ●兄妹あるいは夫婦という、きわめて近い関係にある間でトラブルが発生し、殺人に及んだこと にあるように思う。しかし、この2例をもって、家族崩壊の表れだとか、社会現象の1つであるように解釈してしまうのはあまりにも短絡的であろう。 報道で伝えられる限りの情報から言えば、兄妹間の事件のほうは、どちらかと言えば、家業(歯科医)という束縛から逃れられない若者の悲劇であるようにも見える。夫婦間の問題も、トラブルの原因自体はそれほど奇異ではない。 ではけっきょく何が特異なのだろうか。私が思うに、兄妹の事件のほうは、将来の進路について、もっと多様な道が開かれていれば殺人に及ぶようなことはなかったと思う。夫婦間の事件のほうも、素朴に考えれば、なんでさっさと離婚しなかったのだろうと思ってしまう。 となると、これらの事件は、第一義的には、人の命を軽視し、遺体を大型家具のように扱ってしまったことにあるとしても、根本的な背景は ●別の世界で別の生き方をすることができない、つまり「逃れ方のスキル」、別の可能性が描けない人たちの悲劇 というところにあったのでは、と思ってみたりする。 |