じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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ミモザの蕾。暖冬のせいだろうか、例年より早く開花しそうな気配。



1月24日(水)

【ちょっと思ったこと】

合格判定サービスの功罪

 センター試験が終了し、大手予備校サイトで合格判定サービスが提供されるようになった。自己採点した結果(その予備校が実施した模擬試験の成績も追加入力可能)と、志望校を選択すると、志望先の得点分布やABCDなどの判定が表示されるという仕組みだ。

 この「ABCD」という判定は、代ゼミのサイトによれば、
  • A…安全合格圏(合格可能性80%以上)
  • B…標準合格圏(合格可能性50〜75%)
  • C…合格挑戦圏(合格可能性25〜45%)
  • D…合格低率圏(合格可能性20%以下)
  • W…判定不能
というように説明されているが、じっさいにこういう結果を利用することは、受験生にとってどういうメリット、デメリットがあるのだろうか。




 まず、こういうものを利用しなければ受験に不利になるのかどうかということだが、最近では多くの大学が合格者の最低点や平均点を公開しており、また、センター試験の得点は問題冊子に解答選択肢をメモしておけば100%正確に知ることができる。

 志望先によほど大きな事件(超名門大学との合併話、不祥事、教員のノーベル賞受賞、国家試験合格率、その学問分野の人気過熱あるいは衰退)が無い限りは、難易度のバラツキは一定の範囲におさまるはずだ。その変動と、その年のセンター試験の難易度さえ分かれば、志望先に入学するためには個別試験であと何点とればよいのかは比較的簡単に計算できる。それにもとづいて、個別試験までの勉強計画を立てればそれでよいだろう。




 予備校サイトなどで、合格判定サービスを実施したり得点分布を公開したりすることは、受験生の志望動向自体を変えてしまう恐れがある。例えば、A校は難易度がアップしたなどと報じられるとA校出願を取りやめる受験生が増え、結果として難易度が大幅にダウンすることもありうる。逆に、入りやすくなったなどと報じられると出願が集中して難易度も上がる。この影響は、選挙前の世論調査と同じようなものだ。

 合格判定は、全体としてはかなりの信頼性を持っていると思う。しかし個人レベルでは
  1. 合格判定は○、入試結果は○
  2. 合格判定は○、入試結果は×
  3. 合格判定は×、入試結果は○
  4. 合格判定は×、入試結果は×
という4つの可能性があり、本来は、1.と4.の比率が圧倒的に高くなければ正確な判定とは呼べない。しかし、実際には、
  • 2.の結果になった時は、普通は「この問題が解けなかったので不合格になった」というように自分の努力や運に原因を帰属する。従って合格判定が外れても、文句は言わない(←このあたりが天気予報とは違うところだ)。
  • 1.の時は、入試に合格しているので、判定結果が×であっても文句を言う人は居ない。むしろ「判定では×だったが自分が頑張ったので合格できた」というように原因を帰属する。
  • 4.の時は、合格判定自体は正しかったことになるが、入試に不合格でショックを受けているので、「当たってよかった」とは思わない。
 しかも、ふつう、合格判定でD判定となると別の大学を受けることが多いので、3.や4.の比率はきわめて少なく、データにもとづいて検証することが困難になる。

 ま、とにかく、個別試験で何点とれるのかということは、本来センター試験結果からは正確に推定できない。そんなことで惑わされ迷い悩むヒマがあったら、初志を貫徹し、志望校の出題レベルと傾向に合わせた受験勉強に精を出し、悔いの残らないようにしてもらいたいところだ。