じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 散歩道で見つけた樹皮のエンブレム。ウサギの顔のようにも見える。


2月4日(日)

【思ったこと】
_70204(日)[心理]サステイナビリティ学連携研究機構公開シンポ(2)奥田碩氏の講演

 2月3日に東京大学安田講堂で行われた

●サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S) 公開シンポジウム − 資源と環境が支える地球と人類の未来−

の参加感想の2回目。シンポでは、小宮山・東大総長の趣旨説明に引き続いて、奥田碩・トヨタ自動車取締役相談役による

●「産業界における資源・エネルギー問題とサステイナビリティ」

という講演が行われた。

 奥田氏のことについては「奥田・経団連会長の世界一周の夢」と題して一度、2006年4月25日の日記で取り上げさせていただいたことがあった。直接お顔を拝見するのは、もちろん今回が初めてである。

 ウィキペディアによれば、奥田碩(ひろし)氏は1932年のお生まれ。トヨタ自動車株式会社の、社長、会長、日本経済団体連合会初代会長などを歴任され、現在は、取締役相談役に就いておられる。ウィキペディアでは「奥田の発言を巡る反発と騒ぎ」と題して過去のいくつかの話題が取り上げられているが、「大手マスコミの沈黙」のせいか、あまり騒がれていないようだ。今回、何か「爆弾発言」でも飛び出すかと注意深く拝聴したが、実際には、パワーポイントも使わず、用意された原稿を淡々と読み上げるだけのご講演に終わった。

 ご講演の内容自体について特に感想は無いが、世界的な大企業がエネルギー問題やサステイナビリティに取り組んでおられるというのはまことに心強いことである。次の講演者の川口順子氏のお話にもあったが、最近では米国の次期大統領選を前に、環境団体と企業が連携して、次期候補に環境問題についての取り組みを要請するという動きもあるという。

 もっとも、大企業取り組む地球環境問題というのは、あくまで、自らの企業活動を守ることが前提になる。自動車会社に関して言えば、燃費節減やバイオエタノールなどの開発には熱心に取り組むが、例えば「出勤は公共交通機関で」というような、車が売れなくなるようなキャンペーンを展開することはあるまいと思う。そういえば、シンポの最後のところで、フロアから「タブーをつくるな。航空機が温暖化の元凶になっていることも問題視すべきだ」というような発言があったが、おそらく、大手航空会社にしてみても、「国内移動は航空機を使わず、なるべく鉄道で」というキャンペーンは展開できないに違いない。結局のところ、大企業連携のサステイナビリティ学は、現在の資本主義経済の延長上で展開されるほかはないという宿命にある。

 とはいえ、この問題に地球規模で取り組むためには、強大な発言力、影響力を行使することが絶対に必要。個々人が自己満足的にエコライフに取り組んでいるだけでは手遅れになるほどに、喫緊な問題となっていることも事実である。そういう意味では、経済界や政界と連携して実現可能な現実的な方策をさぐることも大切であろうと思った。なお、このあたりの議論は、川口順子氏のご講演のなかでより鮮明になる。

次回に続く。