じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 本部棟前のセンダンの古木とクスノキ。すでに春の日射し。


2月13日(火)

【思ったこと】
_70213(火)[心理]サステイナビリティ学連携研究機構公開シンポ(9)まとめ

 2月3日に東大・安田講堂で行われた表記のシンポの参加感想の最終回。

●「資源・エネルギーから考える持続可能な未来社会」

という総合討論に関して書き残した点をいくつか。

 まず、松尾・東洋大学学長のご発言だが、実際の話題提供は、開始時と、後の討論の2回に分かれていた。

 その前半部分では、1972年のストックホルム「国連人間環境会議」開催以降、2005年の京都議定書発効に至るまでの、持続可能性に関する論調が紹介された。「持続可能な開発」(Sustainable Development)という考え方は、「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」の「われら共通の未来(Our Common Future)、1987年)に登場し、
将来世代が自分たちのニーズを満たす能力を損なうことなく現代世代のニーズを満たす開発または進歩
として定義されている。詳しくはウィキペディアの説明を参照されたい。

 松尾氏は、「持続可能な開発」ということに関して、
  1. 持続可能なものは何か?
  2. 開発とは何か?
という2つの問題を提起された。

 このうち1.は、環境、エネルギー、資源、生態系、自然そのものなどがキーワードとなる。 持続すべきものが明確にされれば、現実の危機の有無が科学的に実証しなくても、持続に向けた行動プログラムを創り出すことができるはずだと思う。もっとも実際には、人は後世よりも目先の利益で強化される宿命にある。また、国際的な戦略的な意図や超長期的な視点からみて、石油資源はさっさと使い果たし枯渇させてしまったほうがよいという主張さえある。なかなか一筋縄ではいかない。

 また2.は、利便性の増大、経済発展、人口増大、工業化、都市化、貧困撲滅、平和維持などを含むが、これらはしばしば、先進諸国と開発途上国との対立をもたらす。

 松尾氏の話題提供の中では、中国やインドの経済発展が地球環境に与える影響についてたびたび言及された。中国やインドは何と言っても、世界第一と第二の人工を擁する大国である。1人あたりの消費がちょっと増えるだけでトータルでは莫大な量に及ぶ。欧米諸国がいくら努力したところで、これら2大国で効果的な対策が取れなければ、環境破壊は不可逆的に進むに違いない。




 このほか、総合討論の中では、

Leena Srivastava(リーナ・スリバスタバ)氏:エネルギー資源研究所(TERI)エグゼクティブディレクター

がインドの水問題についてお話をしておられたのが印象に残った。サステイナビリティというと、もっぱら温暖化防止のことばかりが頭に浮かぶが、安全な水資源の確保と供給の問題も大切であろうと思う。もっともインドで今後起こりうる問題については、私自身勉強不足でよく分からないことも多い。少なくとも言えるのは、どこかで人口増加に歯止めをかけないと大変なことになるのではということ。

 ということで、このシンポに関する感想の連載を終わらせていただく。日程の都合がつけば、来年もぜひ参加させていただきたいと思っている。

※このシンポの概要は、2月20日頃の日経新聞特集記事で紹介されると聞いている。