【思ったこと】 _70215(木)[心理]今年の卒論(2)
昨日に続き、卒論のテーマの選び方や視点について感じたことを、メモ代わりに感想を記しておくことにしたい。
- 留学生のソーシャルサポート
高齢者研究では、身近な家族を頂点としてサポートの序列を想定する階層補完モデル(Canter, 1979)と、それに対峙する課題特定モデル(Litwak, 1985)があり、それを留学生のサポート研究の分析に援用したというように理解した。研究自体についてはよくできていると思ったが、高齢者が、助けられるべき社会的弱者でありマイノリティであるという発想がどこかにあるのでは?という点がちょっと気になった。
日本の高齢者は、海外からこの日本国に移り住んできたマイノリティでは決してない。むしろ、高齢者たちのほうが先住民であって、若者世代は後からやってきた移民と言うべきであろう。この卒論とは全く関係の無い感想になるが、高齢者のサポートモデルの研究をする人たちは、高齢者への尊厳や、彼らから教えを請うという発想を持ち続けてもらいたいものである。。
- 文章を読んでいる際の推論
オンライン推論(文章を読んでいる最中に行われる推論)についての研究。実験研究としてまことに手堅い内容ではあったが、我々はいつも同じスタイルで文章を読むものだろうか、という点が若干気になった。例えば、機器の操作マニュアルや観光案内のような文章は、普通、ニーズに応じて必要な部分だけを拾い読みするものである。昨今のWebサイトのコンテンツも同様。私が、卒論や修論の査読をする時には、まず要約を読み、その上で、目的と考察との対応、目的に見合った方法が用いられているか、どういう結果からどういう結論が引き出されているか、といった順番で読む。必ずしも1頁目から順に読むわけではない。また、小説、とりわけ推理小説のようなものは、1頁目から順番に読まなければ興味が半減する。
ということからみて、「一口に文章を読む」と言っても、情報を取り込むプロセスは多種多様であり、文章のジャンルや読み手のニーズによって変わってくるのではないかなあ、というのが率直な感想。
- オープナー・スキル
他者から自己開示されやすい人物は「opener」と呼ばれる。この、自己開示されやすさを測定する「オープナー・スキル尺度」を作成するという研究であった。
研究結果とは直接関係無いが、オープナー・スキルと似たものに「傾聴スキル」というのがある。昨年12月9日の日記で取り上げた「傾聴ボランティア」などには「傾聴スキル」の向上が要求されるものと思う。
「傾聴スキル」には「相手の意見を否定しない」が含まれるそうだが、今回の「オープナー・スキル」では、時と場合によって、相手の意見の問題点を適確に指摘したり、代替案を示すようなことも含まれる可能性があるようだ(←今回の結果から得られた結論ではないが)。要するに、「傾聴ボランティア」よりもっと親しい関係のもとで、相互に相談に乗るというレベルのスキルに焦点をあてることに意義があるように見受けられた。
次回に続く。
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