じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
|
農学部農場越しに眺める新緑の半田山。写真上は、日の出の頃。写真下は昼頃に撮影。「ミニ蒜山三座」の風格あり。
|
【思ったこと】 _70419(木)[教育]第13回大学教育研究フォーラム(10)批判的思考力育成と高次リテラシー能力(1) 3月28日の11時から12時に、いくつかの会場に別れて小講演が行われた。私はその中の、 ●楠見孝氏(京都大学大学院教育学研究科):批判的思考力育成と高次リテラシー能力 に参加させていただいた。 批判的思考(クリティカルシンキング)に関しては、2004年2月8日に ●批判的思考の認知的基盤と実践ワークショップ に参加させていただいたことがあるが、今回は、大学教育としての取組とその成果についての御講演であった。 楠見氏はまず、批判的思考の定義、さらにそれが「高次リテラシー能力」の基盤となるものであると指摘された。 ちなみにGooglede「高次リテラシー」を検索すると418件がヒットする(←2007年3月現在)ということであった。しかし、4月20日に検索してみたところでは13件しかヒットせず、そのうち3件はなっなんと、この日記(4/7付け)へのリンクであった。おかしいなあ。 とにもかくにも、高次リテラシーは、高次の思考スキルと内容的知識に基づく読解能力・コミュニケーション能力として、21世紀の市民生活に必要であり、PISA(The Programme for International Student Assessment、学習到達度調査)が測る能力に含まれている。 PISAの測定するリテラシーの中には「情報にアクセスし、管理・統合・評価する能力」や「生活における数学的な根拠に基づく判断」が含まれているというが、じっさい、発掘!あるある大事典の捏造問題など見ても、番組制作者が批判されるべきなのは勿論であるとして、視聴者側の安易に信じ込んでしまう姿勢にも問題があることは確かであり、市民生活における高次リテラシーの確立はぜひとも必要であろうと思う。 今回の講演では、京大の導入教育、教養教育、専門教育それぞれにおける批判的思考・高次リテラシー育成の授業実践が報告された。 このうち導入教育の事例は、楠見氏が担当されている「ポケットゼミ」(全学部1回生、20名)の実践報告であった。内容的には、私がかつて分担していた行動科学概論とも共通しているように思えたが、少人数であること、学部横断型であること、半期13回であることなどが大きく異なっており、充実しているようにお見受けした。 この種の導入教育は、全国の大学で必修化してもよいのではないかと思う。こういう授業に参加すれば、カルト宗教や悪徳商法の被害に遭わずにも済むし、どのような専門に進んでも、種々の学術論争を多角的に捉え直すことができるはずだ。 次回に続く。 |