じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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文学部中庭の新緑。一口に新緑と言っても、樹種により色合いはさまざま。なお、手入れをしていないのでスケールは小さいが、藤棚の花も見頃を迎えている。 |
【思ったこと】 _70426(木)[教育]第13回大学教育研究フォーラム(14)心理学者,大学教育への挑戦7−グループ活動を含む初年次教育の実践−(3)グループ活動を含む初年次教育の成果と課題 フォーラム2日目の夕刻に開催されたラウンドテーブル企画: ●心理学者,大学教育への挑戦7 −グループ活動を含む初年次教育の実践− の参加感想の3回目。 今回のラウンドテーブル企画は、行動分析学的アプローチに対する無理解・偏見?と見受けられる点があったことは大変残念に感じたが(昨日の日記参照)、本来の趣旨および話題提供や指定討論全体としては、得るところの大きい企画であった。 まずI氏の話題提供に関して。I氏の取組は女子大学における「大学基礎講座」の一環として行われたものであった。このうち「基礎講座I」では、藤田哲也編『大学基礎講座 改増版』(北大路書房,2006)を適すととして、ノートの取り方、テキストの読み方、図書館の利用、レポートの書き方などの指導を行う。そして「基礎講座II」(後期・2単位、13コマ)のほうが、今回の企画全体のサブテーマにもなっているグループ活動を含む初年次教育、すなわち、討論するための基礎トレーニング(グループ・ディスカッション、ディベート、ブレーン・ストーミング)および班活動・班発表から構成されるものであった。 じつは私のところでも文学部一年次生向けに「基礎科目I」という授業が必修化されており、今年度はまさに私自身が後半部分を分担することになっている。そういう意味でも、討論や班活動についての実践報告は大いに参考になった。 もっとも私自身は「基礎科目I」自体は、各担当教員の専門性を活かしたテーマ追究型のゼミに切り替えるべきだということを持論としている。要するに、具体的な課題の無いままにテキストの読み方やレポートの書き方の訓練を行っても、車の運転に例えるならばペーパードライバーを作るだけに終わってしまうのではないかということだ。どうせ免許をとるなら、「通勤・通学に利用する(←マイカー通勤・通学が良いかどうかという議論は置いておくとして)」、「ボランティア活動として高齢者の送り迎えをする」、「世界一周する」というように、具体的な目標をもって運転免許をとったほうが良い。初年次教育に関して言えば、テーマ追究型の活動とセットにしたほうが効果的であるように思う。 次に、本題の「基礎講座II」であるが、受講生同士が相互に評価する「評価表」活用などは大いに参考になった。もっとも、対新入生受講率が56%にすぎず、班構成後に脱落者が出る点などに今後の課題が残されているようであった。このあたり聞き逃してしまったのだが、大学として「基礎講座II」がぜひとも必要と考えているのであれば、きっちりと必修科目として位置づけるべきであろう。それとも、必修科目であるにもかかわらず、受講率が低下しているという意味だったのだろうか。 論文集によれば、「基礎講座II」の成果としては 「班の全員が責任を持って自分の役割を果たす」という意識を持つことを通して,受講生の人間的成長を促す点で意義があったが,受講率が低いという課題も残った。というようなことが書かれてあったが、うーむ、こういうことって、高校までの教育やサークル活動の中でちゃんと身につけていくものではないのかなあ。ま、個人主義的傾向が強いと言われる今の学生向けにはこういう教育も必要かもしれないが、はたして、週1コマ、半期の授業の一部だけでそれが身に付くかどうかは疑わしい。脱落者も出たということでもあるし...。 次回に続く。 |