じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 岡山大学構内の紅葉情報の第20回目(2007年12月1日)。南北通りのイチョウはかなり落葉。ケヤキも7割方、落葉した。土曜日の休日であったため、いつもの帰宅時より早い、16時台の風景を撮影することができた。写真は上から、
  • 農学部西門から眺める朝のイチョウ並木。昨日の写真(上から2番目)と同じアングルだが、今回は西日が当たるときに撮ったので、いちだんと黄金色に輝いている。
  • 夕日を浴びる、時計台前のアメリカフウ(モミジバフウ)。この日は各学部で推薦入試が行われたため、この周辺はかなり賑わっていた。
  • 文学部西側から半田山方面。11月29日の日記で紹介したケヤキ(写真、上から3番目)からの落葉が道路を埋めつくしていた。



12月1日(土)

【ちょっと思ったこと】

ホームズ彗星とアンドロメダ銀河を見比べる

 昨日の日記で「ホームズ彗星、ついに見えなくなる」と書いたばかりであったが、12月1日の夕食後はよく晴れ透明度も良く、オリオン座の長方形(ベテルギウスとリゲルなどで構成される四角形)の中に10個近いの星を肉眼で眺めることができた(三つ星と小三つ星を除く)。

 夕食後の散歩時に双眼鏡(7×50)を持参して、農学部構内の比較的暗い夜道で観察したところ、天頂近く、ペルセウス座α星と同じ視野の中ではっきりとその姿を確認することができた。もう見えないと思っていただけに大感激。これで通算36回目。

 この日はアンドロメダ銀河も見えていたが、明るさはほぼ同じ。ホームズ彗星のモヤモヤの大きさほうが4倍以上あった。大銀河と彗星を何度も何度も見比べて堪能した。

 なお翌12月2日早朝は薄雲が広がっていて、1等星以上の星がかろうじて見える程度であり、ホームズ彗星は全く確認できなかった。

【思ったこと】
_71201(土)[心理]徴兵制を導入すれば若者は規律正しくなるか?(2)「般化」を起こりやすくするための条件

 昨日の日記で、

●徴兵制を実施し、一定期間、訓練や規則正しいルールにのっとった生活を強制すれば、若者は規律正しく行動するようになり、「モラルハザード、規範意識の欠落、希薄化」を改善することができるか?

という問題を考えるにあたっては、少なくとも、以下の4つの視点からの議論が可能であると述べた。
  1. エビデンスに基づく議論
  2. 特定場所、特定期間に受けた訓練の般化可能性についての議論
  3. 行動随伴性に基づく議論
  4. 少数の「ならず者」にどう対応するかという議論
 本日はこのうちの2番目の視点から考えてみることにしたい。




 さて、これは上記の問題に限らず一般論として言えることだが、学校もしくはそれに類する教育機関で何かを徹底的に教え込んだとしても、社会に出てから、そのことがそっくりそのまま身に付くというわけではない。いくら熱心に教えられても、ある内容は数年も経てばすっかり忘れてしまう。また、学校在学中であっても、学校で躾けられたことが、そのまま、下校後の生活に反映するというわけではない。若者の非行や犯罪や不道徳的な行為が報道されるとすぐ「学校の教育が悪い」と批判をする人がいるが、学校でさらに重点的に教育したからといって、その成果が他所で発揮されなければ無意味になってしまう。ある場面で身につけた行動が他の場面でも発現するようになることは「般化」と呼ばれるが(←ここでいう「般化」は、記述概念としての「般化(または汎化)」であり、「一般性を高める」、「応用可能にする」と表現しても、ニュアンスはそれほど変わらない。また行動分析学でいう「般化」は、もう少し別の形で定義されており、以下の事例は必ずしも「般化」の事例ではない)、この「般化」を保証するための科学的な議論がぜひとも必要である。

 般化が起こりやすい場合と起こりにくい場合について、2つほど例を挙げてみよう。
  1. 自動車教習所で教わった運転スキルは、免許取得後の一般道路での運転に大いに役立つ。しかし、いくら教習所で「制限速度を守りなさい」と叩き込まれたとしても、一般道路で常に制限速度以下で走るようになるとは限らない。
  2. 小学校で教わった「九九」は社会に出てからもしっかり身についているが、長時間かけて練習したはずのハーモニカは、いまでは全く演奏することができない。
 これらの例が示すように、かつて学んだことが、いまの環境下でちゃんと遂行されるかどうかということは、過去にどれだけ厳しく教えられたのかということには必ずしも依存しない。そうではなくて、いまの環境下に、そのスキルを遂行させるようなニーズや行動随伴性が存在しているのかどうかが、第一義的な要因になっているのである。上記の1.の例で「自動車教習所で教わった運転スキルは、免許取得後の一般道路での運転に大いに役立つ」と書いたのも、いま、車を運転している人だけに当てはまることであり、免許取得後に全く運転をしないペーパードライバーの場合は、そのスキルさえ失われてしまう。

 ということもあり、「一定期間、訓練や規則正しいルールにのっとった生活を強制」したからといって、そういう教育を受けた者が、後に一般社会に出てからも、同じように規則を守り道徳的に行動するようになるとは直ちには言えない。そうなるか、ならないかは、いまの社会において、そういう行動を守らせるためのシステムがちゃんと機能しているのかどうかに依存する。

 そう言えば、12月1日、仮釈放中に再び女性殺害した被告の死刑が確定したというネットニュース(毎日)があった。最高裁小法廷は「20年近く服役したにもかかわらず類似事件を繰り返しており、刑事責任は極めて重大だ」と指摘したというが、要するに、20年という長きにわたって規則正しくルールにのっとった服役生活を強制したからといって、仮釈放後の世界でその成果が発揮されるとは言えないのである。同じニュースの関連記事には、犯罪白書:犯罪者の3割が再犯者 過去60年の犯罪分析(11/6付 毎日)というのもあった。

 次回に続く。