じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
12月21日朝の太陽。冬至前日ということもあり、葉の落ちたケヤキ越しに弱々しく輝いていた。
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【思ったこと】 _71221(金)[教育]学士教育課程のコンセプト(15)メジャー制導入と自発的学修者の育成(2)ダブルメジャーの可能性 講演の配付資料によれば、当該大学の卒業要件は概ね以下の通りになっていた。
このほか、教員アドヴァイザーによるきめ細かい指導体制が大いに参考になった。ダブルメジャーの場合、専門外のメジャーについての相談などは一人の教員だけでは応じられないであろうと思っていたが、当該大学では、教員アドヴァイザーとは別に、「アカミックプランニングセンター」などの常設機関があり、単に「アドヴァイジング」ではなく「プランニング」をサポートしているという点が大いに参考になった。 また、一人の教員が担当する学生数は、多い場合で30名程度。また、GPAにより1学期あたりの履修登録上限(19単位)が課せられ、かつ、GPAが1.0を着るという状態が3回続くと退学になるということであった。 私自身は、「リベラルアーツ・カレッジ」で教育を受けたことも教えたこともないので、総合大学との違いがいまひとつ分からないところがあった。 私のところなどでもすでに制度化されているが、学部Aで主専攻、別の学部Bで副専攻をとるということは総合大学でも可能である。また、前回の述べたように、いったん卒業したあとで、別の学部に学士入学したり、大学院で異なる領域の研究をするという道もある。「リベラルアーツ・カレッジ」で教育を受けた場合には、それらとどういう違いがあるのか、よく分からないところがあった。 第二に、そもそも、ダブルメジャーや、「ダブルとマイナー」を選択することにどれだけのニーズがあるのかという疑問があった。一例として、学生自身は音楽を学びたいと思っているが、それでは身を立てることが難しい、そこで親の期待にも応えるために経済学と音楽をダブルメジャーにするというようなケースはありうるということらしい。しかし、研究者として身を立てる場合には、1つのメジャーをできる限り深く探究しておいたほうが有利ということはあるだろう。じっさい、当該大学の受験生向けガイドブックで卒業生の進路を参照してみると、企業や大学院進学のほか、他大学の学士課程に再度入学(←学士入学なのか、センター試験を受けた上で1年次から入学しているのかは未確認)しているというケースもかなりあることが分かった。もちろん、年数をかけて、広く、かつ深く学ぶということにはそれなりの意義があるかと思うが、それを可能にするにはかなりの学費、生活費を必要とするはずで、当該学生や両親がかなりの高収入でないとそういう道は選べないようにも思えた。 ま、いずれにせよ、これだけの質の高い教育を維持していけるのは、長年の伝統があり、教育実績に対する高い評価があればこそ、であろうと思う。この大学における教学改革はおそらく成功例として語り継がれるであろうが、他大学がこれに追従してもそう簡単には成功できるとは思えない。リベラルアーツを標榜している大学は他にも複数あり、それらと比較しつつ、今後のご発展に期待したいと思う。 |