じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
昨日の日記に「春を待つメタセコイア」の写真を載せたところであるが、あれは、メタセコイヤの雄姿の最後の写真になってしまった。2月18日の午前中、たまたま男性トイレの窓から外を眺めると、なっなんと、上半分が切り取られているではないか(写真の緑の矢印参照。左の矢印が元の樹。右の矢印は、クレーンで撤去されている上半分)。
真ん中の写真は、伐採途中の哀れな様子。いちばん下は昨年5月10日に撮影した新緑の写真。 それにしても、たまたまトイレに行った時が伐採の瞬間であったというのは何という偶然。あの樹木からの緊急メッセージが伝えられてきたかのようだ。 |
【思ったこと】 _80218(月)[教育]大学教育改革プログラム合同フォーラム(10)GP事業の成果と今後の展開(1) 今回からはフォーラム2日目の感想。 フォーラム2日目、2月10日(日)の午前中には、 パネルディスカッション:「GP事業の成果と今後の展開」 が開催された。 パネルディスカッションではまず、これまでGPに関わった関係者に対して行われたアンケート調査の結果が紹介された。回答者は、GPの申請者である大学長(回答数532)、実際のGPプロジェクトを動かす立場にある「担当者」(回答数102)、及びGP採択審査に関わった委員(回答数125)であった。 そのうち、「選定された他大学の取組はわが国の大学教育改革に役立つものが多いか」という問いに対しては4〜5割が「そう思う」と答え、「ある程度そう思う」を含めるとほぼ9割以上が、肯定的な評価をしていたという。こういうデータというのは、いま政局の焦点となっている道路特定財源に関して、自治体の首長に、「道路特定財源は地方の道路整備に役立っているか」と尋ねるのと似たようなイメージがあり、真に「役立った」というエビデンスとしては甚だ不十分であると言わざるを得ない。もっとも、政治の世界では、予算配分にあたって常にエビデンスが必要である。じっさい、今回紹介されたアンケート結果についても、 ●9割以上の学長が「我が国の大学教育に役立つ」「高等教育システム全体に良い影響」と回答 というような文言が、文科省の新規予算86億円「質の高い大学教育推進プログラム」の概要資料にちゃんと盛り込まれていた。とにかく、新たな予算を獲得するためには、新規性と、過去の実績についてのエビデンスが求められる。今回のアンケート結果はそういうエビデンスとして活用されるものと思う。 以上、多少皮肉っぽく書いたが、私自身は、決してGP事業がムダであったとは思っていない。じっさい、GPの趣旨をきっちり理解し、組織的に取り組み、PDCAサイクルをきっちり確立できた大学にとっては大きな成果になったものと思う。そのいっぽう、学長の命を受けて、一部の申請担当者だけが疲弊し、当初の計画通りには改革ができず、けっきょくは、海外視察、関係者を招聘した講演会開催、豪華な取組紹介パンフレット作成だけに終わってしまったというところも決して少なくないように思う。そういうところは、某先生のことばを借りれば、「何年か経ってGP採択校に行ってみたら、GPの遺跡が残っていた」ということになりかねない。 今回のような合同フォーラムが開催され、さまざまなGPの成果が公開され、全国の大学関係者が一堂に会して交流を行うというのはまことに結構なことだと思うが、そこで伝えられることはどうしても外向けの成功談のみに限られてしまう恐れもある。どの採択校も、失敗した部分については多くを語りたがらないであろう。しかし、真に大学教育改革に役立てるためには、成功部分ばかりでなく、失敗経験も教訓としてちゃんと残すべきである。ま、ある程度目が肥えてくると、ちょっと質疑をするだけで、どれが成功事例で、どれが失敗事例かということは、言われなくても見えてくるものではあるけれど...。 次回に続く。 |