じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 某国の大統領候補が「豚に口紅」と発言したことが波紋を呼んでいるという。そこで、実際にブタが口紅を塗ったらどうなるか、手持ちの写真で試してみた(モデルのブタは、ドイツの森で撮影)。

 なおネットで調べたところ、こちらに、「豚に口紅を塗る(put lipstick on a pig)」についての考察があった。その中の引用によれば
CAMBRIDGE INTERNATIONAL DICTIONARY

PUT LIPSTICK ON A PIG: If people put lipstick on a pig, they make superficial or cosmetic changes, hoping that it will make the product attractive.



9月11日(木)

【思ったこと】
_80911(木)[心理]北京オリンピック野球日本代表は血液型性格判断に汚染されていたか?

 少し前、アンテナ経由で拝読しているWeb日記を通じて、オリンピックが始まる前の7月に、ZAKZAK(7/18付)に、北京オリンピック野球日本代表の田淵ヘッド兼打撃コーチの記事が掲載されていることを知った。

 記事では冒頭、
北京五輪日本代表の最終メンバー24人が17日に発表されたが、血液型では、A型が10人(41.7%)と圧倒的多数。O型は7人、AB型は5人、B型は2人しかいない。
と記されている。A型が圧倒的多数と書かれているが、日本人全体のA型者の比率はもともと40%前後ではなかったのか。 いっぽう、B型者が若干少ないのが気になる。スポーツ界で差別されたり、B型者であるという理由で偏見を持たれなければいいのだが...。

 記事の後半では、
A型は、おだてりゃ木に登るタイプ。俺もそうだからよくわかる」と田淵コーチ。こうなると、A型の多いジャパンを束ねるには、星野監督の鉄拳や一喝より、A型で「人当たりが良い」田淵コーチが前面に出た方がうまくいくのかも。
とあったが、何型であろうと、うまくおだてれりゃ木に登る。上記の引用部で「A型は」、「A型の多い」、「A型で」という部分を取り去っても、主張内容は大して変わらないのではないだろうか。

 なお、ZAKZAKでは8月13日付けの記事でも、田淵コーチのことを取り上げているようだ。これら記事内容についての批判は、引用元のWeb日記で言い尽くされていると思われるので、ここではこれ以上取り上げない。




 ところで、一般論として、血液型性格判断喧伝者のようなコーチが加わっていた場合、野球の作戦指揮上どのような影響が出てくるだろうか。

 例えば、A、B、C、D、E、F、Gという7人の選手が、打順1番から5番までの候補が上がっていたとする。それぞれの選手の能力、相手チームの戦力などを客観的に分析した結果、FとGはベンチに残し、A、B、C、D、Eという5人をこの打席順でスタメンとするという原案ができたとする。おそらくそれが、最善の編成案ということになるだろう。

 ところが、コーチの中に血液型性格判断の信奉者がいて、その進言により、1番と2番の打席からAとBを外し、FとGに入れ替えたとする。血液型の違いが各選手の活躍ぶりと無関係、もしくはその影響がきわめて微々たるものであったとすると、出場する選手の顔ぶれや打順は、最善の案よりも幾分戦力ダウンするであろう。

 さらに、当該チームに血液型性格判断を取り入れている首脳がいたとすると、(各選手の血液型は不変)先発メンバーや打順はその分ステレオタイプになり、それだけ、敵チームに作戦を読まれやすくなる恐れがある。8月13日付けの記事によれば、「田淵コーチは阪神チーフ打撃コーチ時代の03年、日本シリーズで対戦する王ダイエーの全選手の血液型を事前調査。敵情把握にも活用している。」と記されてあったが、おいおい、その時の最終結果はどうなったんだ?




 念のため言っておくが、個人の内部で血液型性格判断を信奉することは、その人の人生にとってプラスに働くこともある。占いや(カルトではない)宗教と同様の効果である。このWeb日記でも何度か書いたことがあるが、例えば、英単語の記憶法が4通りあって、どの方法を選んでも似たり寄ったりで、それなりの効果が期待できたとする。

 この場合、どの方法を選ぶか迷ったり、途中で違う方法に切り替えたりして優柔不断に学習していくよりは、「この血液型者にはこの記憶法が最適である」と思い込んで一途に記憶したほうが効果があることは確かであろう。ダイエット法なども同様。

 しかし、血液型性格判断が他者の選別や配置の手段として利用される場面においては、少なからず差別や偏見に繋がる恐れが大きい。スポーツ界では未だに血液型性格判断信奉者・喧伝者が多いと聞くが、そのステレオタイプなフィルターによって、選手の多種多様な能力や努力が公正に評価されないようであればまさに人権問題である。今回のオリンピックの実際の試合運びにおいて、田淵コーチの進言やネット記事での発言が監督や選手にどのような影響を及ぼしたのかは定かではないが、少なくとも、今後の日本代表チームのスタッフからはそういうフィルターを持った人は外してもらいたいものだと思う。

 ま、一般論として、他者の差別や偏見に繋がらない限りは、血液型性格判断を信じるも信じないもその人の勝手ということになる。しかし、一生のあいだ、血液型というフィルターを外すことができないままに他者と接し続ける人が居たとしたら、まことに哀れで可哀想なヤツだと、他人事ながら思う。