じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _80915(月)[教育]桃太郎フォーラムXI:受けたい授業を創る:教授法改善のヒント(3)授業応答システム”クリッカー”による能動的学習授業(2) 昨日に続き、鈴木氏による ●授業応答システム”クリッカー”による能動的学習授業−簡単に実現する双方向性授業− という話題提供に関して感想を述べさせていただくことにしたい。 すでに何度か述べたことであるが、“クリッカー"が大学の授業改善に有効かとうかという一般的な議論はあまり意味が無い。重要なことは、どういう学生に、どういう授業で、どういうタイミングで使えば効果を発揮できるかという点にある。 このうち、学生のレベルということに関しては、鈴木氏の講演の中でアメリカでのFD活動の流れについて言及があった。
もっとも、この考え方から直ちにクリッカー導入が正当化されるわけではない。授業内容が分かりにかった場合、もちろん、その内容を分かりやすくするために最大限の努力をすることは必要であるが、このほかに
鈴木氏の話題提供では、こうした点に関連して、能動的学習授業とはどのようなものかについても言及された。そのやり方には、10通り以上の方式があり、特にHarvard大学やMTIで実施されている方式が知られているという。いずれも、「自ら考え、議論することが中心」、「学生の疑問にリアルタイムでフィードバック」という特徴を備えている。 しかし、能動的学習授業は殆どの場合に難があるという。すなわち、教え方の上手な教員が担当すればうまく運用できるが、下手な教員ではむしろ一方的講義のほうがマシだと言われる。また、概念の定着率は高いといっても、時間がかかるなど効率性に問題があるようだ。 いっぽう、クリッカーによるクイズ形式の授業では運用が非常に楽という利点がある。ちなみに、単にクイズをするだけならば、挙手やプラカードでもよいが、クリッカーのほうが、匿名性、返報性に優れていると言えるだろう(2007年12月13日の日記参照)。 クリッカーを導入して講義を行うということは、結果的に、
反面、クリッカーを導入した授業では
なお、2007年12月14日の日記(続編あり)でも述べたが、クリッカー活用の理論的根拠については、私個人はしっくりこない点がいくつかある。但し、どのような理論に依拠しても、実践場面で決定的な違いをもたらすということはあまり無さそうだ。実践場面での効果検証サイクルがしっかりしていれば、理屈はむしろ後付けでも事足りる。諸々の学習モデルや記憶理論などは啓蒙普及のための説得ツール(=権威づけ)にしかならないという気がしないでもない。 次回に続く。 |