じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 来年度の文学部広報用に、個人写真を提出することになった。これまでのような身分証明書型の顔写真ではなく、それぞれの教員の特徴を表す写真が推奨されているという(ネコの写真でもいいらしい)。ということで、とりあえず、カピバラとジリス(オグロプレーリードッグ)の背中に乗った合成写真を作ってみた。採用されるだろうか。なお、いちばん下のラクダに乗った写真は合成ではなくてホンモノ。以前、エジプト皆既日食見物に行った時に撮影した。

 カピバラとジリスは、海の中道海浜公園で撮影したもの。ジリスは、カムチャツカも見かけた。同じ種類かもしれない。



9月17日(水)

【思ったこと】
_80917(水)[教育]桃太郎フォーラムXI:受けたい授業を創る:教授法改善のヒント(4)橋本メソッドとは何か?(2)

 昨日に続き、橋本勝氏による、

●「橋本メソッドと学生の主体的学び−150人ゼミの有効性−」

の感想を述べさせていただく。

 さていよいよ本題の「橋本メソッドとは何か?」についてだが、ネットで検索したところ、すでにいくつかの大学のFD研修会でその概要が紹介されていることが分かった。このうち、法政大学FD推進センターのコンテンツには、
...【略】...。「橋本メソッド」とは、「多人数によるゼミ」という形式をとる授業スタイルのことです。これは、数十人から200名程度まで可能とのことです。第1回目の講義で、学生は3〜4名のチームに分かれ、あらかじめ設定されているテーマから2つ選びます。チームで協同して、期日までに資料原稿案を教員に提出し、発表の「エントリー」をします。エントリーされた中から、教員に選抜された2チームが授業当日に発表を行います。授業の最後に、全員が「シャトルカード」と呼ばれる用紙に感想や意見を書いて提出します。発表だけでなく、質疑応答やシャトルカードのコメントが評価の対象で、最終試験も行われます。
と、簡潔にまとめられていた。

 午後の分科会で私自身からも発言させていただいたところであるが、上記の「メソッド」には少なくとも
  • 3〜4名のグループに分かれて課題研究を行う。
  • 研究発表を行う。
  • 担当教員に選抜してもらわないと発表できない(いい加減な研究では発表機会が与えられない)。
  • 毎回、シャトルカードに感想や意見(記述内容は何でもいいらしい)に記入。
  • シャトルカードに対しては、担当教員が丁寧にコメントや返事を書き込む(300〜400枚のカードにコメントを書き込む時間は、毎週30時間前後に及ぶという)。
  • 最終試験も行う。
といったコンポーネントから成り立っている。もちろん、「橋本メソッド」として行うからにはそのどれも欠かすことができないであろうが、その一部を独立して導入することも可能である。例えば、シャトルカード自体は、私(長谷川)の大部分の授業でも導入している。今年度前期は、行動分析学と統計学の中規模授業で導入し、毎回、すべての受講生の書き込み内容に目を通し、必要に応じてコメントを書き込んだ。私の場合は、30〜50人規模の授業であったが、それでも毎週3〜5時間程度は要した。

 いっぽう、3〜4名のグループ学習あるいはグループ研究は、昨日も述べたように、すでに多くの大学で行われている。このうち昨年4月24日の日記(続編あり)でも言及したが、グループ学習・研究では一般に、「フリーライダー(=他のメンバーに任せっきりで何もせず、単位だけもらう学生)」と「リタイア(グループ活動に馴染めず離脱してしまう学生)」が出るという問題が指摘されている。大規模授業となれば、その恐れはさらに大きいのではないかと思われるのだが、橋本氏ご自身の授業ではほぼ全員が最後まで授業に集中しているとのことであった。しかしそれが、
  • 受講生全員が橋本氏の熱意と人柄に惹かれたため。
  • シャトルカードで、橋本氏が長時間をかけて懇切丁寧に書き込みをしてくれるので、それに恩義を感じた。
  • 授業運営についての橋本氏の名人芸。
  • 授業内容そのものが面白いので、出たくてたまらなくなる。
のいずれによるものか(複合的な原因もあり)は、まだ十分に検証されていないように思えた。もし、橋本氏ご自身の人柄や名人芸が大きく寄与しているとすると、他の教員がマネをしてもうまくいかない可能性が大である。

 あと、「橋本メソッド」が注目を集めている理由の1つは、120〜150人というような大規模授業で実施が可能という点にあるのではないかと思うが、50人を下回るとなぜ「やや効果が下がる」のかがイマイチよく分からなかった。例えば

●(週2コマの授業 3時間)+(シャトルカードコメント書き 30時間)=週33時間

を要するというのであれば、50人ずつの授業を6コマ開いて

●(週6コマの授業 9時間)+(シャトルカードコメント書き 24時間)=週33時間

としても時間的負担は同じことになる。シャトルカードコメント書きの時間は減るが、そのぶん、受講生が発表や討論に参加できる機会も、担当教員が授業の中で学生と質疑をする機会も増えるはずである。ま、狭い教室での発表と、数百人が入れる大ホールでの研究発表では学生の意気込み、緊張度、達成感が段違いに異なると言えないこともないが。

 次回に続く。