じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【思ったこと】 _90113(火)[心理]「血液型性格判断」が廃れない本当の理由(1) 少し前の各種報道によれば、2008年は、血液型による性格診断を扱う書籍がブームとなり、年間ベストセラー10冊に『血液型自分の説明書』シリーズ4冊がランクインした。「血液型は非科学的」と主張する科学誌も出版不況の中で好調な売れ行きを確保。“2匹目のどじょう”を狙った類似本の出版も相次いだという(以上、日経ネットから要約引用。2008年12月3日配信の読売新聞でも同様の記事あり)。 1月にはちょうど、1コマ限りの分担授業でこの話題を取り上げるので(実は本日だ!)、これを機会に、最近の「血液型現象」について私の考えをまとめておくことにしたい。 ちなみに、このWeb日記では、昨年1年間は、血液型の話題を殆ど取り上げていなかった。過去ログをざっと検索した限りでは、北京オリンピック野球日本代表は血液型性格判断に汚染されていたか? が唯一の話題。9月に北海道大学で行われた日本心理学会第72回大会では、大村政男先生の L03 血液型性格と郷土性(県民性)を科学する という小講演が行われた模様であるが、残念ながら他の会場に出席していて拝聴することができなかった。 それから、今回の連載を書くにあたって、血液型人間「学」で有名な能見俊賢氏が2006年9月27日に、脳出血のため57歳の若さでお亡くなりになっていた、ということを初めて知った。2007年の日本心理学会第71回大会では、能見俊賢氏がお亡くなりになったというような話は一言も出なかったと記憶している(あるいは、能見氏がお亡くなりになったという話を聞いても、だいぶ前に能見正比古がお亡くなりになっていたことと、私だけが混同していたのかもしれない)。今さらでまことに恐縮だが、謹んでご冥福をお祈りします。 さて、冒頭の『血液型自分の説明書』がベストセラーになったという話題であるが、私自身は、当該の本を1冊も買っていないし本屋で立ち読みをしたこともない。いずれ、古本屋で1冊100円程度で売られるようになったら買いそろえてみたいとは思っている。 ということもあって、現時点ではその内容については、一言たりとも論評できる立場にはないが、私が面白いと思ったのは、Amazonの情報を見る限りでは、これらのシリーズの著者は 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)となっていて、本名ではなく(←フランス語読みで「ジャメ ジャメ」と読むのだろうか?)、ネットでざっと検索しても、正体がよく分からない人だということである。 いや、心理学の専門家でないからこれらの本がインチキだというつもりは毛頭ない。重要なのは、これらの本を買った人が、著者の正体、履歴、専門性、エビデンスなどにはおそらく無頓着であったに違いないということである。 新聞折り込みなどの、健康食品のチラシではそうはいくまい。健康食品の場合は、○○大学教授・医学博士△△先生の推薦、××大学の学会発表(←たいがいは、どこぞの学会でポスター発表した、「とんでも」発表程度のようだが)といった「権威付け」や、何となく胡散臭い「実験データ」のグラフなどの「エビデンス」がないと宣伝が難しいようだが、この血液型本に関しては、私の知る限りでは、そのような権威付けは一切行われていない模様である。つまり、健康食品と当該の血液型本では、購入動機が質的に異なっているということが示唆される。 であるからして、心理学の専門家が、あれは非科学的だから信用できないなどと演説したところで、本の売れ行きに影響を与えることはまずない。おそらく、
次回に続く。 |