じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§  大学構内で飼育されているヤギ。研究用ではあるが、牧歌的風景にひかれて足を止める人も多い。なお、ここで飼育されているヤギに関しては、 といった写真を掲載したことがあった。


02月4日(水)

【思ったこと】
_90204(水)[心理]岡山市のゴミ有料化で何が変わるか(3)ごみ袋の色/「ゴミ」か「ごみ」か/「収集」か「回収か」/「燃やす」か「燃える」か

 連載を続けているゴミ収集有料化の話題であるが、その後のニュースによれば、実質初日となった2月2日に市内5000カ所で収集されたゴミの量は465.18トンで、前年同期比35%減であったという。但し、1月末の駆け込みの可能性(有料化になる直前にできるだけゴミを捨てておこうという駆け込み)もあり、恒常的な減量に効果があったかどうかは現時点ではまだ実証できていないようだ。

 ちなみに、この有料化についての正式広報はこちらのページにある。ゴミ袋の値段は、45リットルが50円、30リットルが30円、20リットルが20円、10リットルが10円などとなっている。

 余談だが、岡山市が指定しているゴミ袋の色は黄色っぽい半透明となっている。なぜ黄色なのかについては、「カラスが袋の中身が識別しにくい」というのが一番の理由らしい。ネットで検索したところ、「カラス対策 黄色いゴミ袋、効果に差 自治体の導入増加」という見出しの記事が、神戸新聞 2007年9月24日に掲載されており、その時点でのいくつかの自治体の対応が紹介されていた。カラス対策については、私自身も などの話題を取り上げたことがある。

 私の知る限りでは、ゴミ袋の色が黄色であるというだけでカラスが撃退できることはまずない。むしろ、色が黄色であることより、(カラスにだけ)中味が見えにくいことのほうが有効である(黄色いから見えにくいのではなく、カラスに見えにくいような加工をしたら結果として黄色っぽくなったという意味)という説が一般的のようだが、そうはいっても、カラスだって腹が減れば手当たり次第に穴をあけるかもしれない。結局、その地域でのカラスの生息数や、ローカルな習性にも影響しているように思える(ニホンザル野生群では、それぞれの生息地域や群れによって採食方法や食性に違いがあることが戦後間もないころの研究で明らかにされているが、カラスも同様であろう)。

 ということもあり、岡山市民の行動ばかりでなく、岡山市在住のカラスたちがどういう行動をとるのかも大いに興味が持たれるところである。




 ところで、この連載では、「岡山市のゴミ有料化」というように簡略表現を使っているが、本当のところ、
  1. 「ごみ」と「ゴミ」のどちらを使うべきか
  2. ゴミは収集されるのか、回収されるのか
  3. ゴミは投棄するのか、持ち込むのか、
といった表現上の問題はどうなっているのだろうか。

 まず1.に関しては、岡山市では一貫して「ごみ」というように平仮名表記を使っている。「ごみ」はもともと日本語であり、漢字変換しても「塵」、「芥」というように難しい文字が候補にあがるだけであり、本来は「ゴミ」よりは「ごみ」のほうが妥当ではないかという気もする。もっとも、日本語は英語などと違って単語ごとに区切らずに文を書くため、名詞の「ごみ」とその前後の形容詞、副詞、助詞、助動詞などとの見分けがつきにくくなる可能性がある。名詞の部分を浮き立たせるためには「ゴミ」のほうが有効であろうと思う。

 次に2.に関しては、岡山市自体は「収集」、一部の報道機関は「回収」を使っているようである。本来の意味から言えば、資源ゴミは「回収」(「廃品回収」というが「廃品収集」とは言わない)、リサイクルに適さないゴミは「収集」と呼ぶべきではないかと思う。

 3.については、投棄というのは「投げ捨てる」という意味になるので、一般市民がステーションに持ち込む場合には使うべきではない。収集日を守らない行為は、違法性を強調する意味で「不法投棄」というように表現する。

 さらに余談であるが、岡山市では公式には「可燃ごみ」、「不燃ごみ」と表現しているが、これも、自治体や、大学などの各種施設内の分別ゴミ箱で、いろいろな表現がある。よく言われるのは「燃やすゴミ」、「燃やせるゴミ」、「燃えるゴミ」の違いである。個人的な語感としては
  • 「燃やすゴミ」→第三者が「燃やす」。自分は関与せず、第三者の手で燃やしてもらうという印象。
  • 「燃やせるゴミ」→「可燃ゴミ」と同義。燃やせるという可能性を示しているだけで、もしかしたら、埋め立てに使われるかもしれない。
  • 「燃えるゴミ」→これは「燃やす」という行為者が不明。自然発火で燃える場合も想定されている。ゴミ自体の特性を表す。
 極端なことを言えば、人類が滅亡してゴミだけが大量に残った場合、
  • 「燃やす」人が存在しない以上「燃やすゴミ」も存在しない。
  • 「燃やせる」ゴミは、「もし人類が存在していたら燃やせる」という可能性を含んでいるので存在する。
  • 「燃えるゴミ」は、人類の有無に関わらず存在しうる。
という違いがあると言えるかもしれない。

 次回に続く。