じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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昨日の日記にも述べたように、岡山では8月2日の午前03時〜05時には合計11.0ミリの激しい雨が降り、各所に水たまりができた。写真左は、水たまりに映る太陽(17時21分頃撮影)、写真左は月齢11.4の月(20時31分頃撮影)。皆既日食から11日が経過し、月と太陽の位置がこんなにも離れてしまった。 |
【思ったこと】 _90802(日)[数学]確率と統計を考える(1)3人きょうだいのうち少なくとも2人が男の子である時、残りの1人が女の子である確率 土日を返上して、心理学演習(心理統計学の基礎)の期末試験の採点を終了。 さて、今回の授業で使った教科書は、記述統計から確率、確率分布、推定、検定というような構成になっているのだが、このうちの「確率」の章に 3人の子供のうち2人が男の子である」という情報があたえられた時、3人とも男の子である確率はいくらか。という練習問題があった。この問題の正解は1/4であるが、高校の時に習ったことをすっかり忘れている受講生も多く、けっこう誤答が多い。そこでそのことについて時間をかけて解説した上で、改めて、以下のような問題を出題してみた。 Aさんの子どもは3人きょうだいであることが分かっている。以下の場合の確率を求めよ(男女の生まれる確率は等しいものとする。式、もしくは文章により、そのように答えた理由を付すこと。)。このうち(1)は、3枚のコインを投げた時に表が1枚、裏が2枚となる確率と同じであり、3/8であるとすぐに計算できる。もう少し詳しく書けば、 3人の子どもを(A, B, C)とすると、男女の組み合わせは、ということになる。 次に(2)であるが、「少なくとも2人が男」という情報は、上記8通りのうち男が1人以下という場合を除外する情報である。残った(男、男、男)、(男、男、女)、(男、女、男)、(女、男、男)という等可能性4通りの中で、女の子1人である場合は、3通り。よって3/4が求める確率となる。 ここまでは、確率の基本中の基本であり、あまり議論は起こらないと思う。議論となりそうなのは(3)の問題である。ここでは、1通りの解答を示すよりも「こういう前提があればこうなる」という形で考えを述べてほしいと、試験開始時に口頭で要望しておいた。 でもって、私が当初用意した解法は、 この問題は、男の子2人が出てきたという時点で、家の中に残っている子どもが女の子であるという予想を立て、それが当たる確率である(誰も家から出てこない状態で、男→男→女という順に出てくるという予想を立てるわけではない)。この場合、残った子どもが男か女かということは、すでに出てきた2人の子どもたちの性別とは独立しているので1/2。あるいは、 3人の子どもが(A, B, C)の順に家の外に出てくると考えると、男女の組み合わせは、と考えてもよいだろう。 上記(2)をコインを3回投げることに置き換えれば、コインを順番に投げて、1回目と2回目が裏であったからといって、3回目が表になるか裏になるのかに影響を与えるわけではない。3回目の確率はあくまで1/2である。独立試行である以上、これは当然のことであろう。 試験問題には出さなかったが、もし、 (4)男の子2人が出てきたことを別の人が観察し、「少なくとも2人は男の子ですよ」と報告したとする。これを聞いた人が、残りの1名を女の子であると予想して当たる確率を求めよ。という問題が与えられたらどうすればよいだろうか。 これは「少なくとも2人は男の子ですよ」という表現が、該当する事象に関してどのような場合や等可能性を前提としているのかに依存している。おそらく「確率とは何か」という根本問題に関係する議論になるだろう。 次回に続く。 |