じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 2009年版・岡山大学構内の紅葉(6)農学部・東西通りのイチョウ並木

 南北通りに続いて、東西通りのイチョウ並木も黄葉が見頃となってきた。今年は、いったん寒気が入ったあと、暖かい日が続く見込みなので、美しい黄葉が楽しめそう。



11月4日(水)

【思ったこと】
_91104(水)[一般]ホルスト「惑星」

 少し前に放送された

NHK 名曲探偵アマデウス「ホルスト 組曲「惑星」

を視た。

 音楽には殆ど関心が無く、木星の第4主題に歌詞をつけて歌ったとされる「平原綾香」という方についても、「お名前もお顔も全く知らない紅白出場歌手リスト」に挙げさせていただいた(2006年12月30日2007年12月5日の日記参照)ことのある私であるが、この、ホルストの「惑星 (組曲)」に関しては、30年ほど前から、曲名だけは知っていた。

 この曲を知ったのは、某研究所で共同利用研究員に従事していた時のことであった。宿舎の談話室に古いステレオがあり、キャビネットの中の数枚のレコード(CDではなくてLP盤)の1つにこの組曲が入っていたのであった。もっとも、その当時は特に感動したというわけでもなかった。

 少し前、テレビのCMでこの曲が流れ(ネットで検索したところ、パナソニックのプラズマテレビ  VIERAのCM曲であったようだが、未確認)、妻にこの曲はどこかで聴いたことがあるが何だっけ?と訪ねて初めてジュピターの一部であることを知った次第である。




 今回の番組ではまず、出だしで「ラドレ」と「ミソラ」をバイオリン四重奏でずらして演奏することの効果が取り上げられた。この部分に限らないが、ホルストの曲というのは、綿密に計算されシステム化された音楽という印象が強い。聴衆の評価を気にせず、とにかく理論優先で、時代を超えた作品を目ざしていたようである。

 木星が「ヨナ抜き」音階の特徴を持つというような指摘もあったが、うーむ、これはどうだろうか。確かに4音は抜けているが、7音はかなり頻繁に現れている。もし7音が無かったら、それこそ演歌調の股旅音楽になってしまいそうだ。もっとも、上記の「ラドレ」と「ミソラ」の繰り返しは、間違いなく「ヨナ抜き音階」ではあるが。

 番組の中ほどでは、組曲の構成が、太陽系の「水金(地)火木土天海」の順ではなくて、なぜ、
  • 火星、戦争をもたらす者
  • 金星、平和をもたらす者
  • 水星、翼のある使者
  • 木星、快楽をもたらす者
  • 土星、老いをもたらす者
  • 天王星、魔術師
  • 海王星、神秘主義者
という謎が取り上げられた。ウィキペディアでは、これはもっぱら、(天文学ではなく)占星術から着想を得たものであるとされており、日本語タイトル自体も「惑星」よりは「運星」に近いと記されていた。今回の番組では、そのことをふまえつつ、木星を中心とした時、木星から近い順の並び方になっているという「珍説」も披露された。また、これは、人生を描いて、女性コーラスが遠くに消えていくようにして終わる海王星のエンディングがまさに人間の最期を表しているというような説明もあった。これはかなり説得力がある。ウィキペディアでは、ホルストの専門家でイギリス・ホルスト協会理事の作曲家コリン・マシューズによる「冥王星、再生する者」(Pluto, the renewer)という作曲もあり、通称『惑星(冥王星付き)』として演奏されることもあるというが、海王星のエンディングに人生の終焉の意味が含まれているのであれば、その続きは無いほうがよいかもしれない。ま、いずれにせよ、冥王星は惑星から準惑星に格下げされてしまったけれど...。

 番組の終わりのほうではホルストの

芸術家は世の中でうまくいかないことを祈るべきである

という言葉が紹介された。「惑星」の初演(1914-1916)から100年近く経ったいま、「惑星」以外のホルストの作品全体に対して、そろそろ肯定的な評価が与えられる時代がやってくるかもしれない。