じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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川崎医療福祉大の風景(2)

 昨日に続いて、日本パーソナリティ心理学会第18回大会の会場となった川崎医療福祉大の写真。建物の中には各種の観葉植物が置かれており、その数の多さに驚かされた。上の2枚の写真に写っているのはサンスベリア(トラノオ)、アレカヤシ、ホンコンカポック(シェフレラ)、ゴムの木、ポトスなどであり、比較的乾燥に強く耐陰性の強いものが選ばれているようだ。もっともそうは言っても管理には相当の手間がかかるはず。できれば、学科やゼミ単位で学生自身が面倒をみればよいと思うが、プロの手が加わらないと見栄えは悪くなりそう。

 写真いちばん下は、セダムを使った屋上緑化。建物全体として環境配慮が行き届いているように見えた。



11月29日(日)

【思ったこと】
_91129(日)[心理]パーソナリティーの時間的変容を捉える試み−対話性と自己からの検討−(2)「パーソナリティ」研究の一環とはいうものの

 昨日の続き。

 昨日も述べたように、この自主企画シンポは、「パーソナリティ」、「時間的変容」、「対話性」、「自己」がキーワードになっており、このほか、「人称的性格」や「ポジショニング」、「場所(トポス)」などが隠れキーワードに含まれていたように思えた。

 まずこのうちの「パーソナリティ」という言葉であるが、シンポのタイトルには含まれていたものの(←なぜか「パーソナリティ」ではなく「パーソナリティー」というように語尾に長音符「ー」が付け加わっていた)、Ki氏とF氏の話題提供の中では、私が拝聴した限りではじつは一度も登場することがなかった。また、お二人がそれぞれの研究を発展させるにあたっては、「パーソナリティ」という概念は必ずしも必要無いようにも思えた。ひょっとして、パーソナリティ心理学会の企画という性格上、無理やりこの言葉を加えたのではないか、という気もした。

 もっとも、冒頭のS氏の企画趣旨説明の中では、ちゃんとその位置づけがなされていた(←早口で喋られたので、聴衆にその御意図がどこまで伝わったのかは定かではないが)。そのS氏の話題提供は、タイトルは

場所と時間とパーソナリティ 〜パーソナリティ研究に時間と場所の復権を〜

となっていた。要するに今回のKi氏とF氏の研究は、時間と場所の復権をめざす事例として位置づけられていたということである。スライド画面から引用させていただくと、
  • Ki氏の化粧研究:「化粧を静的な類型として捉えるのではなく、場所(トポス)を考慮することで、日常的に微細に移ろう「その人らしさ」に肉薄する
  • F氏の難病研究:「機能の低下・欠如を問題にするのではなく、「その人らしさ」を捉え、時間的経緯を記述する価値のある存在としての難病患者
ということに意義があるとされていた。この意義づけをふまえてお二人の話題提供を拝聴しない限りは、個々の研究活動の内容を個別に理解するだけに終わってしまう恐れがある。

 とはいえ、そのことをふまえてもなお、Ki氏とF氏の研究が「パーソナリティ研究」であったのかどうかは疑問が残る。一個人のヒストリーを追うのであれば生涯発達の研究と言えないこともないし、場所との関係で行動の差異を見るというなら行動分析学などの行動研究(←「環境・文脈の違いが弁別刺激や強化機会を変え、それによって行動が変わってくる」という意味)としても位置づけられる。やはり「パーソナリティ」という概念を持ち込む必要は無かったのでは?という気がしないでもない。


 次回に続く。