じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
§§ |
大学入試センター試験が始まり、岡大・南北通りには、母校の後輩受験生を応援するメッセージがたくさん吊られていた。なお2007年1月19日の日記にも記したように、これらのメッセージの中には漢字の誤りがある。受験生は要警戒。 |
【思ったこと】 _a0116(土)[心理]2009年度版・卒論執筆の手引き(6)「目的」の書き方 「本研究で何を明らかにしようとしているのか(研究の目的、仮説など)」という目的の書き方について、もうすこし詳しく述べておきたい。 1月12日の日記に記したように、私は、
2.は、単に、研究対象として取り上げることの意義を強調すればよく、一般常識の延長であってもよい。例えば、「本研究が対象とする高齢者の生きがいの問題は、少子高齢化が進んでいる現代日本においては重要な課題の1つとなっている」というように書く場合、2.の段階では、なぜ重要な課題であるのかについて、いちいち証拠を挙げて論じる必要はない。世間一般が高齢者問題が重要であると考えられている限りにおいては、それだけで十分に意義づけになる。 しかし5.の段階では、上記のような大ざっぱな意義づけはもはや許されない。先行研究をふまえた上で、より具体的な形で問題提起をする必要があるのである。上記の「高齢者の生きがい」を論じるのであれば、例えばこちらの参加感想で言及したような形で問題を整理した上で、「本研究」として取り組む内容を明示しなければならない。 であるからして、「本研究は、高齢者の生きがいについて検討する」というような抽象的な目的設定では不十分である。そうではなくて、例えば、 ●本研究は、活動理論と離脱理論、さらにその後の発展を渉猟した上で、○○を対象とし、△△と××がどのように変化していくのかを把握することを目的とする【←あくまで仮想の研究課題】 というように、何を明らかにするのかを具体的に述べる必要がある。 それから、卒論でありがちなテーマの1つに「男女差について検討する」というのがあるが、ただ単に調べてみて、こんなところに男女差があった、というだけでは研究にはならない。そりゃもちろん、多くのデータにおいて男女差は見られるに違いないが、その原因としては、ジェンダー、生理的特性などさまざまな要因が考えられる。仮に「高齢者の生きがいにおける男女差」を検討するにしても、中年期までの仕事内容や人間関係、さらには、配偶者との関係などさまざまな要因があるはずで、まずは合理的な仮説を立てたうえで検討する必要があるだろう。デフォルト(出発点としての作業仮説)は、原則としては「男女差なし」とするべきである。 次回に続く。 |