じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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2010年版・岡山大学構内でお花見(56)ブラシノキ(カリステモン)

 毎年この時期に真っ赤なブラシのような花をつける。昨年の写真は2009年6月7日の楽天版にある。

 ちなみに6月5日の岡山の最高気温は31.7℃まで上がり、5月21日の30.3℃に続いて今年2回目の真夏日となった。真っ赤なブラシノキの花が炎暑を造り出しているようにも見える。


6月5日(土)

【思ったこと】
_a0605(土)[心理]2010年 人間・植物関係学会 10周年記念大会(11)大会2日目(5)松尾・前会長による講演(4)

 6月3日の日記の続き。

 講演の後半で松尾氏は、人間・植物関係学の研究の特徴として、
  1. 必ずしも反復ができるわけではない(一過性)
  2. 地域性
  3. 個の尊重
  4. 時代的・時間的変化
  5. 年代間の違い
という5点を挙げられた。また、研究の進め方においては、自然科学的手法だけでは対応できず、人文科学的手法、社会科学的手法が必要になることもあると指摘された。

 これらはそれぞれ奥の深い議論につながるが、このことについての考察は別の機会に述べたいと思う。但し、3.の「個の尊重」に関しては、フロアから「個の尊重という意味が分からない。集団を対象とした実証研究がやはり必要ではないか」というような質問が出された点について一言。もちろん、私も、個体間比較の実験研究や調査研究が無意味であるとは思っていないが、平均値の有意差を比較するような研究からは、個人単位での長期的な植物との関わりの効果を検討することはゼッタイにできない。少なくとも私の関心はもっぱら後者のほうにある。もっとも、個人ごとの効果が多様であると言っても、それらの違いを含めて、共通の原理(例えば行動随伴性の原理)で説明することはできる。また、テクニカルな面でのサポート(例えば、身体的な障がいをもつ方の園芸活動をどうサポートするのかということについての技法)の改善・開発は体系化できるだろう。

 なお、2001年以降、全国の13あまりの大学で「人間・植物関係学」や「園芸療法学」に関連した授業科目が開設されているという。特に最近になってからは、単独の授業科目ではなく、コースや学科単位で体系的な教育を行う大学も現れており、今後の発展が期待される。


 講演の最後に松尾氏は、「今後の課題」として
  • 身近な植物とのかかわりを意識すること
  • その啓発活動
  • 子どもとともに、植物との触れ合いをはかろう
  • いのちを実感し、人間らしく生きるために
 ということを提唱された。このことに関して思うのは、小学校の校庭の半分は花壇やビオトープ、畑などにして、子どもたちが日常的に植物と触れ合う機会を保証してほしいということである。あるいは、屋上庭園なども積極的に作るべきである。校庭には、地域の緊急避難場所として重要な役割もあるのでその機能は保たれなければならないが、固い土のままにしておかなければならないわけでもあるまい。というか、本来、小学校の敷地はもっと広くするべきである。

 以上、松尾・前会長の講演について感想を述べさせていただいた。なお、もうお一方、高江洲義英氏(沖縄・いずみ病院理事長)による「沖縄学における民俗と神歌(おもろ)」という演題の講演があった。本州の短歌が「57577」となっているのに対して、沖縄の歌では「8886」というような偶数構成になる点、沖縄の園芸・植栽は風速80mの台風来襲にも耐えられるような設計になっていることなどを興味深く拝聴した。

 まだまだ書き足りないこともあるが、5月22〜23日の大会からすでに2週間が経過したところでもあり、これをもって本大会のメモと感想の最終回としたい。