じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
§§ ヒガンバナ繁殖の謎。

大学構内各所で見かけるヒガンバナ。ウィキペディア
...日本に存在するヒガンバナは全て遺伝的に同一であり、三倍体である。故に、雄株、雌株の区別が無く種子で増えることができない(遺伝子的には雌株である)。中国から伝わった1株の球根から日本各地に株分けの形で広まったと考えられる。
と記されているが、植栽の間からぽつんと花を出したり、以前なかったところで芽を出すなど、別の場所に少しずつ広がっているようにも思える。誰かがこっそり植えたのか、もしくは、地上に露出した浮上株が芝刈り機で飛び散って別の場所で根を下ろしたという可能性が考えられる。


10月1日(金)

【思ったこと】
_a1001(金)日本心理学会第74回大会(11)素朴弁証法と心理学的成果(3)儒教、道家、禅宗、陰陽と素朴弁証法

 昨日の日記で述べたように、現代中国人が、毛沢東思想やケ小平理論、文革とその後の経済発展などの影響と比較して、儒教・道教などの影響をどの程度受けているのかについてはもう少し検証する必要があると思っている。もちろん同じことは現代日本人についても言えるわけで、萬葉や源氏物語の精神をそっくり受け継いでいるわけでもあるまい。戦前から戦後、高度成長やバブル崩壊がどのような影響を与えたを抜きにして、文化の問題を語ることはできないのではないかという気がする。

 それから、それぞれの時代の著名な思想というのは、その時代の庶民一般の自己観や慣習をそっくりそのまま反映しているわけではない。むしろ世間の常識とはかけ離れた新しい視点を提唱すればこそ注目されているという面もあることに留意しなければならない。

 ま、それはさておき、講演のほうでは、儒教、道教、禅宗のそれぞれの重要概念が分かりやすく解説された。以下、備忘録を兼ねてメモしておきたい。
  • 儒教:「仁(Humaneness)」、「入世(Engagement)」、「人与社会之和(The Harmony between people and society)」
    「入世」は社会に奉仕することであると説明されていた。儒教の自己観には3つの局面、「有限与無限:有機自我」、「彼与此:関連自我」、「多与少:弁証自我」がある。なお中国語では、「自我」と記されていたが、日本語では「自己」のほうが適切であるようだ。また、「関連自我」は「関係自己」と訳されていた。
  • 道家:「道(Tao)」、「出世(Detachment)」、「人与自然之和(The Harmony between people and nature)」
    ここに記されているように、儒教の「入世」や「人与社会之和」とは異なる考えをとっている。
  • 禅宗:「心(mind)」、「遁世(To forsake the world)」、「人与人心之和(The Harmony between people and people's mind)」
    仏教の無我は、個人主義を排除。
 以上をふまえて、彭氏は、中国人的思惟之理は、そのことが素朴弁証法(中国語では「素朴」は「朴素」らしい)の考え方をもたらしている。その基本原則は「整体性原則(すべて相互関連的)」、「変化性原則」、「矛盾性原則」から構成される。この矛盾性というのは、東洋の視点で言えば、陰陽の相互矛盾のことであり、西洋の背反的な白黒ではなくて、陰陽魚太極図のような関係にある。ちなみに、この太極図は、日時計のように棒を立て多時の影の変化に由来するものらしい()。
韓国の国旗にもこの模様が描かれている。

 なお、以上はあくまで長谷川の記憶に基づくメモである。中国古代思想については私は全くの素人であり、聞き間違いや誤解があるかもしれない点をお断りしておく。

 次回に続く。