じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2011年版・岡山大学構内でお花見(36)多年草中心のイギリス式花壇

 昨日の日記で“丸ごと植え替え式、公共花壇の性格上やむを得ないところもあるが、毎朝散歩している者としては、「花はきれいだが、ポット苗がそこに埋め込まれているだけ」という印象しか持てない。植えっぱなしのイギリス式多年草花壇のほうが、四季折々の花が少しずつ咲いたり散ったりして、遙かに季節感がある。”と述べた。

 写真は岡大西門左横にある多年草中心の花壇。ここには、ストエカス・ラベンダー、サルビア・ミクロフィラ・ホットリップス、ローズマリー、チャイブ、ラムズイヤーなどのハーブ類のほか、テンニンギク、ガザニア、バーベナ、セダム(タイトゴメ)、宿根アマ、宿根カスミソウ、ハクチョウソウ、八重咲きオニユリ、グロキシニア、各種ナデシコ類、マツバギクなどの多年草、さらにそれを補う形で、コスモス、ヤグルマギク、マリーゴールド、マツバボタン、ノースポール、フロックスなどの一年草が実生で生育しており、一年中、花が絶えることがない。

 もっとも、丸ごと植え替え式の場合は、植え替え時に雑草を完全に撤去できるが、この種の多年草花壇では、周辺から侵入してくる雑草を定期的に抜き取る作業が不可欠である。その際、葉っぱの形などから多年草の幼苗と雑草を見分ける必要があり、ある程度の園芸知識を持ったボランティアの参加なしでは維持管理を保つことができない。

5月21日(土)

【思ったこと】
_b0521(土)2011年版・高齢者の心と行動(3) 行動を活発にして、喜びを獲得する仕組み(1)

 昨日の続き。
 今回は、特に強調したい5点:
  1. 他者の心を理解する仕組み(予測と制御、因果関係の理解、弁別行動の仕組み、弁別行動の再帰的定義としての他者理解)
  2. 行動を活発にする仕組み
  3. 喜びに低級や高級の区別は無い。喜び自体には上下はない。但し、同じ喜びであっても、喜びを与える仕組み(随伴性)によって、持続的で「希望」を与える喜びにもなるし、刹那的で虚しさだけが残る喜びにもなる。
  4. ドーパミン型とセロトニン型の区別は必要。
  5. 高齢者が喜びを得るためには何が用意されなければならないか。
のうち2.と3.について述べることにしたい。

 行動分析学的に言えば、行動を活発にする仕組みとはすなわち強化の随伴性のことである。これには、
  • 好子出現の随伴性
  • 嫌子の消失の随伴性
の2通りがあり、また、【制御変数的定義ではなく】手続的定義のレベルでは
  • 好子消失阻止の随伴性
  • 嫌子出現阻止の随伴性
があり、これらが行動を強化している。オペラント行動はこのほか、
  • 確立操作によって、より強化されやすい状況を作ることによっても活発になる。
  • マロットが繰り返し指摘しているように、好子や嫌子は、適切な大きさがあり、一定の確率で随伴する時に強化されやすくなる【その条件が揃わないと、しばしば、先延ばしが起こる】。
  • 強化スケジュールの諸研究が明らかにしているように、同じ強化率であっても、結果がランダムに伴ったり、行動の量に依存している場合(比率率強化スケジュール)
などの条件によっても、活発になったり不活発になったりする。

 行動が活発であることは生きている証拠でもあり、鬱的な状態よりは望ましい。また、スキナーが
Happiness does not lie in the possession of positive reinforcers; it lies in behaving because positive reinforcers have then followed.
と述べているように、Happiness【←日本語では「幸福」と訳すよりはむしろ、「生きがい」や「喜び」に相当するように思う】は、オペラント行動が生起し、かつそれがポジティブに強化されている(=「好子出現の随伴性」)なかに存在するものである。

 なお上掲は、スキナーが1979年に慶應大学で講演した時の講演録に記されている文であり、タイトルは「Non-punitive Society」、出典は、

Commemorative lecture given by B.F. Skinner after receiving an honorary doctorate at Keio University, Japan. September 25, 1979. )Reprinted in the Japanese Journal of Behavior Analysis in 1990.)

となっているが、幸いなことに、スキナー財団のホームページの中のArticlesのサイトから無料で閲覧することができるようになっているので、ご一読いただきたい(PDFファイル自体は、こちら)。1990年発行の『行動分析学研究』誌には、佐藤方哉先生による、正確な日本語訳がついている。

 次回に続く。