じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
§§ | 某学会理事会出席のため新大阪まで往復。帰路、新大阪始発の「超特急さくら」に初めて乗車した。ちなみに、新幹線が営業開始した頃によく使われていた「超特急」という呼称は最近では全く耳にしなくなったが、英語では今でも「This is the SAKURA Superexpress bound for ...」というように「Superexpress」という呼称が使われている。ここでは、寝台特急「さくら」と区別するためにあえて「超特急」と呼ぶことにした。
なお、今回乗車した「さくら」は鹿児島中央行きと表示されていたが、車内電光板で、九州大雨によち博多・熊本間不通の運行情報があった。この列車もどうやら、博多駅で運転打ち切りとなった模様。 |
【思ったこと】 _b0612(日)2011年版・高齢者の心と行動(14) 喜びに低級や高級の区別は無い(7)幸せのモノサシ 〜指標づくりの模索〜 他の話題や連載ですっかりご無沙汰になってしまったが、表記の連載を復活したいと思う。 さて、6月1日の日記では、社会的注目や「好子共有」の効果について述べた。これらは、個人の固有の累積的結果に対する社会的評価として付与される場合と、共同体の成員間で相互に付与される場合がある。この後者の場合は、過去や将来ばかりでなく、現在の生活空間の中でも共有することができる。 これに関連して少々脱線するが、6月2日放送のNHKクローズアップ現代で、 ●幸せのモノサシ 〜指標づくりの模索〜 という話題を取り上げていた。なお、この放送の一部(前半の9分間程度)は動画で無料配信されているので、ぜひご覧いただきたい。 その動画で、内田由紀子氏(心理学、京都大学こころの未来研究センター)らが今回の大震災直後に行った若年層の生活行動及び幸福度に対する影響についての調査結果が紹介されていた。(ネットで検索したところ、こちらに発表要旨?のファイルのあることが分かった。) 浮かび上がってきたのは、「家族や友人との結びつきの大切に改めて気づかされた。」と答えた人々の姿であったという(←調査の直接的な結果ではなさそう。) そのあとで紹介された内田氏の見解によれば、「家族や友人など、ごく身近な人との結びつきが日本人の幸せの根本になりつつある。欧米では、個人がどのくらいモノや評価を獲得したか、自己実現したかに重きが置かれる【誇り、達成感、自己実現】のに対して、日本人は、身近な人に支えられているか、その関係性の中で幸せを感じる【支え、親しみ、安心】」という。またそのあとで紹介された宮本みち子氏(社会学、放送大学)の見解によれば、「家族や友人だけでなく、社会との結びつきを持つことがより重要【社会との関係性】」であるという。 また番組の終わりのほうでは、今回のゲスト糸井重里氏が
以上に挙げたような、「支え」、「親しみ」、「社会との関係性」、「社会から認めてもらうこと」、「相手の喜びを喜ぶ」といった「幸せ観」は、すでに取り上げてきた、社会的注目や「好子共有」の効果と共通するものであり、争いを避け、互助・互酬を重視するという点で、社会全体を設計する上では望ましい方向ではないかと思われる。 もっとも、糸井氏も「幸せについて「なんだろうね」と考えるプロセスが大切」と言っておられたように、これはあくまで幸せの1つの形態にすぎない。日本人であるからといって、「支え、親しみ、安心」より、欧米の「誇り、達成感、自己実現」のほうを重視する人も居るであろうし、人付き合いは最小限にして、できる限り自分の時間・空間を大切にしたいという人も少なからず居るはずだ。他者との交流や支え合いの頻度を質問項目に入れた指標などを作ってしまうと、隠遁生活を志向する人は、勝手に不幸者のレッテルを貼られてしまうことになりかねない。 今回の放送は震災とリンクさせた内容であったため、他者との支え合いが強く意識されていたが、そういう人々であっても平時になれば、再び個人中心のライフスタイルに戻るかもしれない。もともと幸せ観のようなものには時代を超えた普遍的な指標などありえない。それぞれの時代、制度、生活水準などの中で、個別に形成され、状況に依存して変化するはずである。 次回に続く。 |