じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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2011年版・岡山大学構内でお花見(53)ネジバナコレクションその2 6月25日の日記に続く第二弾。
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【思ったこと】 _b0628(火)2011年版・高齢者の心と行動(28) 困難な状況をすべて先延ばしし、何もしないでゴロゴロするだけの退屈な生活を避ける方法(8)随伴性の入れ子構造(3) 6月27日の日記の続き。 日常生活行動を支える行動随伴性は、「レバーを押したら餌が出る」というような「単線型」の随伴性とは異なり、ずっと先に生じる結果までを取り込んだ、何層にもわたる入れ子構造となっていると主張してきた。しかし、ここで留意すべき点が3点ほどある。 第一に、入れ子構造は一義的に定まるものではない。こちらの論文でも論じたように、 例えば、「自転車通勤」という行動は、「ペダルをこぐ」、「自転車が倒れないようにバランスをとる」といった行動から構成されている。また、もし自転車通勤が地球温暖化防止策の一環として行われているのであれば、「環境配慮行動」の一要素として、クールビズ着装行動、エアコンの省エネ設定行動などとともに総合的に強化されるであろう。そのいっぽう、自転車通勤が、行動遂行者の健康増進の一環であるとすれば、それらは日々の散歩、ダイエット、スポーツジムに通う、規則的な生活をする、禁煙を維持するなどの諸行動とともに総合的に強化されるであろう。 第二に、行動随伴性が入れ子構造になっているといっても、行動に直接的な効果を及ぼすのは、行動とその直後の結果から構成される基本随伴性、もしくは行動と環境変化が一体となっているようなスパイラル型の随伴性に限られるであろうということだ。当然のことながら、入れ子の大枠となる結果やずっと先に生じる大きな結果は、個々の行動に随伴するものではない。おそらく、個々の行動が生じた時に、そのような「大結果」への到達をチェックするような点検行動がなされ、達成確認という結果が個々の行動に付加的・補完的に随伴しているものと思われる。 例えば、受験勉強の場合、入試合格という大きな結果はずっと先にあり、日々の勉強行動を直接的に強化することはない。しかし、当初の勉強計画の進行具合のチェックや模試の結果などといった点検行動を行えば、ただ漫然と参考書に向かうより遙かに確実に強化されるようになる。 ここでいう「大結果」というのは、要するに目的を定めたり、より長期的、あるいは全体的視点から個々の行動を捉えるということを意味している。但し、精神主義や認知主義とは異なり、それらは単に「理解」、「知識」、「自覚」といった形で達成されるものではない。行動分析学的視点として必要なことは、大結果を大枠とする入れ子構造において、入れ子の外側に位置する行動随伴性がどのように実質化されているのか、どのように複合的、双方向的に関連行動を強化できているのか、をしっかりと点検するところにあるのではないかと思っている。 次回に続く。 |