じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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2012年版・岡山大学構内でお花見(3)紅葉スモモ

 農学部北東角(本部棟近く)にある紅葉李(ベニバスモモ)。別名、アカバザクラ。農学部構内では他にも数本咲いている。説明板によれば、ミロバランスモモの変種であり、果実は生食用になる。

 ※岡山大学構内の花だよりのアルバム(追記更新型)をLife-Xに開設しました。随時追加していきますので、時たま覗いていただければ光栄です。

3月30日(金)

【思ったこと】
_c0330(金)第17回人間行動分析研究会(6)家庭犬のしつけに関する行動原理の知識テスト(2)なぜ内的整合性を高めなければならないの?

 昨日も述べたように、犬をちゃんとしつけるには、犬だけを教育していたのでは不十分であり、飼い主にもちゃんと教育訓練を行う必要がある。しかし、これまでのところ、飼い主の技量・知識を測定する方法は未開発であった。今回紹介される、

家庭犬のしつけに関する行動原理の知識テスト(KBPAD)

は、そうした技量・知識を測定するためのツールであり、飼い主にこのテストを実施すれば、以下のような点が期待できるとのことであった。
  1. しつけ教室では飼い主の知識レベルにあった効果的な指導を行える。
  2. しつけ教室参加前後の成績を自己診断できる、技能・知識の更なる向上が望める。
  3. 飼い主が学習した技量や知識を新しい状況へ正しく適用できれば、飼い犬に問題行動が生じるたびに訓練士に頼る必要がなくなる。

 ここまでのところで私が素朴に疑問に思ったのは、「しつけに関する行動原理の知識テスト」なるものは、なぜ内的整合性を高めなければならないのか?という点であった。

 例えば、車の運転に関する技量・知識を測定するテストを開発したとしよう。その内容は、おそらく、ブレーキ、アクセル、ハンドルなどの操作に関わる知識・技量、運転行動自体のスキル、車の構造に関する知識、道路交通法に関する諸知識、さらに交通安全に関わる心構え(油断、譲り合い、過信、不注意など)を総合的にチェックし、その合計得点で評価すればよいはずである。どういうチェック項目を採用するかは、交通安全の専門家の判断に委ねればよい。項目の数や、得点の重み付けも同様である。もちろん、もし、そのテストの得点で運転免許交付を決定するというのであれば、交付を受けた者の交通事故発生率などと相関をとることも必要かもしれないが(現実には、ペーパードライバーも居るし、運転の目的や通行する道路などによって危険の度合いも変わるので、テストの各種項目と交通事故発生率との相関をとることは殆ど困難と思われる)、わざわざ尺度化しなければならない理由は見当たらないように思う。このほか、現実に行われている入学試験、各種資格試験なども同様であり、試験問題の各質問項目に関して内的整合性を高めるような作業は行われていないし、その必要も無いように思う。

 でもって今回のテストであるが、上掲の1.や2.が目的であるならば、内的整合性を高める必要は全く無い。専門家の提案に基づいて多種多様な質問項目を用意すればそれでよいはずである。

 尺度化が必要な理由があるとすれば、おそらく、上掲の3.、つまり、「飼い主が学習した技量や知識を新しい状況へ正しく適用できれば」という点にあるのではないかと思う。要するに、「家庭犬のしつけに関する行動原理の知識」なるものは、個別の独立したスキルの集合体ではなくて、何らかの抽象的な能力のようなものがあるという暗黙の仮定がなされているのであろう。そのテストで高得点を取れた人は低得点であった人に比べて、新しい状況でもすぐれた応用ができると期待される。かつ、しつけ教室における教育効果も、雑多な技能の習得にとどまるのではなく、何かしらの一般性のある能力を養成しているということになる。というように好意的に解釈すれば、内的整合性を高める作業は無駄ではないとも思われる。しかし、そういう作業をすることで、全体の得点と有意な相関の無い項目は統計的に排除されてしまう。それが良いことか悪いことかなのかは、何とも言えない。


 次回に続く。