じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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§§ 定年退職までの理想の研究室を作る(5)棚板を増やすメリット

 5月6日をもって今年のGWが終了し、中断していた新研究室内の整理作業を早期に完結する必要が出てきた。写真は、書架。書架とはいえ、原則として書籍は一切置かず、プラスチックケースに分類整理した授業別の資料、会議資料、各種物品、よく使う文具類を保管する予定である。引き出しやファイルで書類を保管すると、重要書類がなかなか見つからなかったり、引き出しからはみ出して紛失するなどのトラブルが多い。そこで定年までの期間は、重要書類は原則としてすべてプラスチック・ストッカーで保管することに決めた。

 ちょうど耐震改修移転作業により天井の一部が低くなったために背の高い書架が何個も廃棄されており、棚板と固定器具をもらい受けることができた。
 プラスチック・ストッカーは、かつてホームセンターで私費で購入したものであるが(メーカーはアイリスオーヤマ)、耐久性抜群で、なかには、岡大赴任前から使っているものもある。積み重ねて保管することもできるが、ここでは、すぐに出し入れできるよう、それぞれの棚板に1個ずつ収納することにした。透明であるので、箱ラベルに頼らずに必要品を取り出すことができる。



5月5日(土)

【思ったこと】
_c0505(土)関越道バス事故の原因の複雑さ

 4月29日、群馬県の関越自動車道で大型バスが道路脇の壁に衝突し乗客7人が死亡した。この事故に関連して連日、さまざまな情報が伝えられている。NHKオンラインで最近の見出しを拾ってみると(新着順)、
  • 複数の日雇い運転手を雇用か(5月6日 4時21分)
  • バス運転手“頼まれたとき運転”(5月5日 19時17分)
  • 関越道バス事故 運転手自宅を捜索(5月5日 13時4分)
  • 逮捕の運転手 個人でも営業か(5月5日 6時30分)
  • 事故の運転手“自分はアルバイト”(5月4日 19時11分)
  • バス運転手 禁止の「日雇い」か(5月3日 4時9分)
などとなっており、NHKのニュースを見ている限りでは、運転手の雇用形態や睡眠管理などが事故の主要な原因になっているように思えてしまう。

 しかし、ネット経由で関連記事を検索してみると、NHKではなぜか一度も報道されていないような情報(一部は未確認のウワサの可能性もあり)も一部で伝えられていることが分かった。
  • 運転手は元中国籍 難しい日本語は理解出来ず、取調べは通訳を通じて
  • 容疑者は元中国籍で93年12月に来日、94年に日本国籍を取得したと供述している。通常の日常会話はできるが、難しい日本語は理解できないといい、取り調べは中国語通訳を通じて行っている。中国残留孤児の家族という情報もある。
  • 事故を起こした千葉県印西市のバス会社「陸援隊」の事業用バス19台のうち、複数台が自動車運転過失致死傷容疑で逮捕された容疑者所有のバスだったことが分かった。関係者の話で容疑者はインバウンドと呼ばれる中国人観光客向けバスツアーを個人で営業していたことも判明。国土交通省は社長が容疑者に道路運送法が禁じている「名義貸し」をしていた疑いがあるとみて調査している。
  • 容疑者を知る複数のバス会社関係者によると、東日本大震災前、容疑者は4台のバスを購入、直接、中国の旅行会社などから受注。営業許可のある緑ナンバーを得るための手数料を陸援隊側に支払っていたという。
  • 【容疑者の】住民基本台帳上の自宅は千葉市中央区の住宅街にある。3階建ての1、2階は中国料理店。だが県警によると、現在の居住実態は不明。近所の女性は「あいさつをしてくれておとなしい人だった」と話す。この女性らによると、以前は妻が料理店を切り盛りしていた。だが現在は店を賃貸しているとみら れるという。
 上掲の未確認情報の中で私がよく分からないのは、まず、容疑者がどうやって日本国籍を取得したのかということだ。日本は外国人の移民にはきわめて厳しいことで知られており、単に運転ができるというだけでは帰化はできないはず。

 第二に、かりに日本に帰化できたとしても、一種免許大型二種免許やそう簡単に取得できるものではない。「通常の日常会話はできるが、難しい日本語は理解できないといい、取り調べは中国語通訳を通じて行っている。」という情報もあるようだが、その程度の日本語力で学科試験がパスできるのだろうか?

 このほか、事故直接原因ではないが、東日本大震災、原発事故、尖閣諸島事件で中国人旅行者が激減していたことも容疑者が夜行バスの日雇い運転手を引き受けるようになったことや、規制緩和によりバス事業への参入が自由化されたことで過当競争となり安全管理がおろそかになったことも背景にあるようだ。

 いっぽう、バス側の原因とは別に、高速道路の設計上の問題として、ガードレールと防音壁の間に隙間があり、結果的に、衝突したバスの内部まで防音壁が食い込んで多数の犠牲者を出したという問題も指摘されている。

 今回の件に限らないが、何かの事故が起こった時には、刑事上の責任追及とは別に、事故の遠因までも含めた複合的な要因をできるかぎり広く明らかにしていくことが、再発防止につながるものと思われる。

 なお、今回の事故をきっかけに、日本国内のバスツアーに関しては、安全管理の徹底がはかられると思うが、海外旅行先でツアー客が利用するバスについては、旅行先の国の法令によるだけであって、日本より安全な国もあれば、かなり危ない国もある。以前、ボリビア旅行中、ウユニからスクレまでで乗ったバスの運転手などはどうみても初心者で、下り坂でブレーキを多用していてヴェイパーロック現象が起こるのではないかと皆心配していた。東チベット旅行の際にも、殆どはベテラン運転手であったが1名未熟な若者が含まれており、最終日にそれを運転していた四駆(←私は乗っていなかった)がトラックを追い越そうとして接触し道路脇にはじき飛ばされるという事故に遭遇したことがあった。このほか、旅程の都合で夜明け前発となったり、深夜到着となるツアーもあり、いくらベテラン運転手でも、あんなに長時間運転を続けて大丈夫なのだろうかと心配になることも少なくない。ま、海外の辺境ツアーに参加する場合はそういうことも覚悟の上であり、せめて、保険金をたくさんかけておくか、安全第一で旅行を取りやめるか、という以外には選択の余地はないように思う。

5/7追記]
 5月6日放送のNHKクローズアップ現代で

検証 高速ツアーバス事故

という話題を取り上げていたが、NHKのこれまでの方針?通り、容疑者の経歴には一切言及せず、夜行バスの安全管理の一般的な問題の証拠事例として扱われていた。いっぽう、5月8日の朝日新聞記事では、「運転手 来日から20年の軌跡」という見出しで容疑者の経歴を取り上げていた。それによれば、
  • 容疑者は中国残留孤児(父親)の2世として1993年に、妻とともに来日。
  • 配管、内装、梱包の仕事をしていたが、2009年にバスの免許を取得し、中古のバスを次々と購入。他のバス会社の名を借りて、中国からの観光客を集めていた。

 以上の新しい情報が正確であるとすると、日本に帰化できたのは、残留孤児2世ということで納得。但し、来日後20年にもなるのに、「通常の日常会話はできるが、難しい日本語は理解できないといい、取り調べは中国語通訳を通じて行っている。」というのは妙であり、これは誤報の可能性が高い。いっぽう、日本語が十分にできたのであれば、大型二種免許の学科試験をパスすることは可能。いずれにせよ、残留孤児2世が種々の困難を乗り越えて家族のために必死に働き続けたことが過労・居眠りの一因になったことは確かであるようだ。種々の違法行為については処罰されなければならないが、そういう違法行為をせざるをえない状況に追い詰められていたのであるとすれば、残留孤児2世への生活支援のあり方もまた見直さなければならないだろう。