じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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§§ 夕日を浴びる新緑のメタセコイア(写真中央)。4年前に大剪定が行われたが(2008年2月18日その翌日の写真参照)、その後再び成長し現在のような姿になっている。


5月14日(月)

【思ったこと】
_c0514(月)「めんどくさい」とは(6)その対策(2)

 昨日の日記では、
  • (1)「やろうと思っているのに手がでない」場合
  • (2)「やっているけど嫌々」という場合
のうち、(1)に関する対策として、
  1. オペランダムの工夫
  2. 確立操作
  3. 選択肢を減らす
  4. チェイニング:個別的、断片的な行動を増やすのではなく、一連の行動の流れを作る
という4点を挙げた。これらは、すでに行動を開始した場合の「(2)やっているけど嫌々」への対策としても有効であると言える。このことをふまえた上で(2)に特有の対策について検討してみよう。

 さて、そもそも「(2)やっているけど嫌々」と感じられるのには2つのタイプがある。1つは、その行動自体に原因がある場合、すなわち、
  • 多大な労力を要する場合
  • 長時間従事しなければならない場合
などがこれに相当する。もっともそういう時の感じ方は「くたびれる」、「しんどい」であって、「めんどくさい」とはあまり言わない。「めんどくさい」と感じられるのは、そういった「行動そのものの性質」ではなくて、行動がどういう随伴性で強化されているのかという、「行動随伴性の種類」に依存しているのではないかと思われる。すなわち、
  1. その行動が好子消失阻止の随伴性で強化されている場合
  2. その行動が嫌子出現阻止の随伴性で強化されている場合
  3. その行動が、一連の行動の部品としての行動であり、それ自体は好子出現をもたらさない場合
  4. 理屈の上では大切だと主張されていても、その行動自体が直接効果的に強化されていない場合
などがこれに相当する。これらはいわゆる「義務的な行動」(こちらの論文参照)」であり、まさに「嫌々しなければならない行動随伴性」の典型であると言える。もっとも、(強制労働の義務はないので)いまの自由主義社会においては、これらの行動は、長期的に見れば何か大きな目的を達成する手段であったり、健康の維持・増進に役立つ行動である場合が殆どである。よって、そうした「大きな好子」への達成の度合いを明示したり、大きな好子自体への確立操作を行うことで、「めんどくささ」はかなりの程度で解消できるように思う。このほか、付加的な好子で補完することも有効であろう。

 例えば、夕食後の散歩がめんどくさいという場合は、毎日の実践の結果を歩数として記録して、東海道五十三次や四国八十八箇所巡りになぞらえて累積的に明示すれば、その分達成感が出てくる。肥満や体脂肪、高脂血症などがもたらす生活習慣病の恐ろしさを説いた本を読んだりテレビ番組を視ることは、「散歩をしないと生活習慣病になる(=嫌子出現阻止の随伴性)」という嫌子への確立操作として有効であろう。このほか、夕食を終えてから寝るまでの一連の行動を規則的な習慣として定着させておけば(チェイニング)、散歩に出かけるかどうかでグズグズすることはない。なお、このことに関連するが、夕食後の散歩を確実に実践するためには、「毎週1回から、2回、3回というように徐々に回数を増やす」よりも、最初から「毎日、同じ時間に散歩に出かける」ことを習慣化し、その上で、散歩の時間を、5分、10分、20分、30分、..というように徐々に長くしていったほうが有効である。なぜなら前者では、曜日によって「散歩に出かける日」と「出かけない日」という違いが生じるため習慣化が難しい。いっぽう後者は、夕食後から就寝までの行動の順番がチェイン化できるため、いちいちグズグズせず、一連の行動が自動的に生じるようになるからである。


次回に続く。