じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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7月3日の岡山は断続的に強い雨が降り、1時間あたりの最大降水量は24.5ミリ、1日の合計降水量は45.0ミリとなった。写真は、講義棟の出入口付近で滝のように落ちる雨水。 |
【思ったこと】 _c0703(火)人間・植物関係学会2012年度大会(6)口頭発表(4)地域調査の教育効果 昨日の続き。 5番目の口頭発表は、徒歩で地域をまわり園芸活動に取り組んでいる人たちから話を聞くというような課題を農学部の学生に課すことの教育効果を検討したものであった。植物介在療法特別プログラムを学んでいる農学部の学生は知識としては植物が癒やしにつながることを理解しているが、どうしても、植物の育成管理のほうに注意を奪われがちであるという。そこで、実際に地域に出て、人と植物の多様な関わりを調査することが大切ではないかという趣旨であった。 調査対象地域は、昔ながらの古民家地区(日本庭園)、新興住宅地(町並みをヨーロピアンにするコンセプトあり)、一般住宅地(玄関付近での鉢物中心)という特徴があるが、単に私有地への侵入を防ぐための畑があったり、園芸好きの方が亡くなられて放置された庭などもあった。 提出されたレポートを分析したところ、調査体験の教育効果は認められたものの、もともと植物への興味が低く知識が乏しい学生の場合は、新たな知見を得ても考察は浅いといった傾向があった。反面、植物を生活の中に取り入れている学生の場合は、考察を深めてさらに新たな知見を得ることができた。これらの違いにより、学生の園芸療法士としての適性を窺い知ることもできたという。 以上の内容は大変興味深いものであったが、教育効果の検証という目的から言えば、どういうエビデンスを示せばよいのかという議論があるように思う。実験的方法により群間比較を行うというのは大ざっぱすぎる。調査体験の前と後で提出されたレポートの中で、人と植物との関わりに関する記述の有無、多面的な考察の有無、等を評定するという方法が一番適しているようにも思える。あと、単に花壇等のスタイルを分類するだけでなく、例えば、ポット苗の寄せ植え中心の園芸と、多年草管理を主体とした園芸で、人々の植物との関わりにどういう違いがあるのかといった分析を課題として出してみるのも一案ではないかと思った。 次回に続く。 |