じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 6月20日(木)の岡山は大雨警報が発令されていたが、一般教育棟周辺ではその雨の中、環境整備工事が行われていた。写真上は、大学構内の桜の名所の1つになっている中庭北側。かつてこのあたりには、緩やかな滝と池があったが、だいぶ昔に埋め立てられ、コンクリートの階段とステージのようになっていた。写真下は、一般教育棟北側にあった自転車置き場跡。

 ちなみに、6月21日朝06時現在の全国都道府県庁所在地の72時間積算雨量は、
  • 第1位:高松市 203.5ミリ
  • 第2位:岡山市 175.0ミリ
  • 第3位:大阪市 157.5ミリ
  • 第4位:山口市 153.5ミリ
  • 第5位:広島市 148.5ミリ
 となっており、今回の大雨が瀬戸内地域に集中していたことがわかる。また、岡山の6月の平均降水量は171.5ミリであり、今回の降り始めからの積算雨量175.0ミリだけで、6月の1ヶ月分の平年値を超えてしまった。



2013年06月20日(木)

【思ったこと】
130620(木)人間・植物関係学会2013年度大会(5)口頭発表(1)教会の花模様装飾と道端の植物

 昨日の続き。

 大会2日目は、朝から口頭発表が行われた。例によって、個人発表の場合は、発表者のお名前は出さず、全般的な感想を述べさせていただくことにしたい。

 まず、発表の中で、西九州のカトリック教会にみられる花模様がツバキかバラか?という興味深い調査研究があった。長崎には5年住んでおり、西彼杵半島の教会を見学したこともあったが、花模様のことには全く気づかなかった。ネットで検索してみると、確かに、田平教会や、頭ヶ島教会の内部装飾に5花弁や4花弁の花模様が使われており、ツバキともバラとも、それ以外の花ともとれる。但し、これらは、改修工事などで色を塗り替えられたり、ツバキであるとの固定観念が後の改修や観光案内に反映している可能性もあるようだ。

 余談だが、ツバキやバラではないが、菊花紋そっくりの花模様を東トルコ・エルズルムや、パキスタン・タッタ遺跡で見たことがある。花模様というのは比較的シンプルにデザインされているため、同じルーツではないかと見紛うばかりの偶然の一致は起こりやすいように思う。

 次に、道端の植物がそこにあることによって、それを観察している人と通りすがりの人とのあいだで交わされるコミュニケーションに関する哲学的考察があった。この発表は、パワーポイントではなく手製の人形劇を交えたユニークな内容であり、大会終了時に表彰された。今回は、デリダに加えて九鬼周造の『偶然性の問題』の視点が加えられ、いっそう磨きのかかった考察に発展しているように思われた。

 もっとも、弁別行動(刺激性制御)という行動分析学の観点から言えば、道端の植物が関心空間に含まれるかどうかは、当人のニーズ、文脈に依存している。要するに、道端にどんなに綺麗な花が咲いていたとしても、それが目にとまる人と、目もくれずに通り過ぎる人は必ずいるもの。これは、花を弁別することがどう強化されてきたかという、個々人の強化履歴にも関係してくる。また、個人の中でもニーズが変われば、関心空間も変わってしまう。6月7日の日記にも書いたが、私の場合、昨年度までは、大学構内の道端に咲いている植物には大いに関心があり、大学構内はセロトニンを分泌させる癒やし空間の1つとなっていた。ところが、安全衛生委員の活動の一環として、禁煙エリアでの喫煙者を見つけて説教するという行動を開始すると、大学構内では、周囲を歩く人、自転車に乗っている人、ベンチで休んでいる人にまず関心が向き、そういう人の中で、口元に手を当てているような人がいれば、喫煙をしているのではないかと、注意深く観察するようになった。その分、自然を観察する機会が失われてしまった。大学構内は私にとって、「セロトニン空間」ではなく、違反喫煙者へのこみ上げる怒りを爆発させる「アドレナリン上昇空間」と化しつつある。敷地内全面禁煙が実施され、違反行為が根絶され、真の「セロトニン空間」が実現することを願ってやまない。

次回に続く