じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
健幸ポイントの運営事務局から、IDとパスワードの通知書が届いた。これにより、ネット経由で、歩数計のデータを送信することができるようになった。【申し込みの経緯は、2014年12月17日の日記参照。】 もっとも、実際にUSB経由でパソコンに繋いでみるといろいろ不具合が起こることが分かった。
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【思ったこと】 150125(日)オックスフォード白熱教室(9)素数ゼミの存在理由 1月19日の日記の続き。これまでずっと脱線して分割問題の話題を取り上げてきたが、この番組の第1回の本来の話題は、素数の不思議であった。 このうち番組の最初のほうでは、素数ゼミ(周期ゼミ)の話題が取り上げられた。番組では、捕食者の発生周期と同期する可能性を少なくするという適応的意義が紹介されていたが、私が素人なりに考えるのは、素数周期で発生するセミのみが結果として、他周期のセミとの交雑の頻度が減り、独自の周期性を保持してきたのではないか、という説である。要するに、発生周期が12年というセミが居たとしても、このセミが同じ年に周期8年、10年、16年などのセミと交雑する可能性が高くなり、12年という性質は保持されにくくなるのではないかということだ。 捕食者説が納得できないのは、捕食者が繁殖に及ぼす影響はそれほど大きくはないという推察による。生息地においてどういう捕食者がいるのかは調べていないが、少なくとも日本では、セミを食べ尽くすような天敵はいない。さらに言えば、セミというのは本来、長期間地中で暮らす生物なのであって、地上に現れるのは彼らの一生から見ればほんの一瞬に過ぎない。地上に出たセミたちは、1/100くらいの確率で繁殖に成功すれば子孫はちゃんと残せる。あとは、捕食者に食われても何ら困ることはないはずだ。 ロイドとダイバス(Lloyd and Dybas,1966,1974)の論文を参照していないのであくまで私個人の勝手な連想になるが、そもそも、セミだけを食べて繁殖するような生物が居るのかどうかはかなりギモンである。上にも述べたように、セミが地上に出現するのは、日本のセミであればほんの数ヶ月に過ぎない。捕食者がセミという食料を調達できるのはこの期間に限られることからして、捕食者はセミが現れる前に、別の何かを食べて成長し、かつ、セミが居なくなるまでの間に交尾して、次の子孫を残さなければならない。これはかなり大忙しの一生になる。 余談だが、食料の調達と繁殖については、穀物栽培とスズメの個体数との関係を挙げることができる。毎年、お米や麦の収穫時期にはたくさんのスズメが穀物を食べにやってくるが、ネット、キラキラのロープ、案山子などで簡単な鳥よけ対策はとられるものの、完全には防ぎきれていない。にも関わらず、それらを食べて満腹になったスズメたちがその後大繁殖することはない。2008年5月13日の日記にも記したように、これは、 ...もっともこれだけたくさんの「餌」があるからといって、スズメが大繁殖することは無さそう。一年のうち、麦やお米の収穫の時期だけ満腹できても、それ以外の時期に食べるものが無ければ、子孫を増やすことはできないからだ。 ... 周期的に大量発生する昆虫と言えば、蝗害(こうがい)が知られているが、これは全く別のメカニズムで起こるようである。セミと同じような周期性を持つためには、少なくとも寿命が10年以上になることが必要かと思われるが、動物の寿命図鑑を見ると、セミ以外でこんなに長生きする昆虫は見当たらない。日本のミンミンゼミやアブラゼミの場合は6〜7年ということなので、17年ゼミや13年ゼミにはなり得ないようだ。リンク先には、昆虫に近い節足動物であるタランチュラの寿命が野生で3〜10年(オス)、15〜20年(メス)と記されていた。そうすると、上掲のような理由が正しいとするなら、素数タランチュラが存在しても不思議ではなさそう。そのほか、海中生物においても、素数生物が居るはずだ。もしそうでなくて、セミだけに素数ゼミが発生するというのであれば、やはり、「長期間の地中生活→地上でのきわめて短期間の交尾・繁殖」という特異な一生にその原因があるのではないかと推察される。 次回に続く。 |