じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
毎年、岡大構内のサークル棟外側階段から、冬至の13日前と13日後に「京山金環食現象」を眺めることができるのだが、今年は、体調を崩したり、大雨になったりして時機を逸してしまった。 写真は12月14日の日没の様子。方位が左側(南側)にずれてしまったため、「京山部分日食現象」になってしまった。 |
【思ったこと】 151214(月)理論心理学会公開シンポ(18)心理学の将来の方法論を考える(10)ベイズ的アプローチと心理学(4) 昨日の続き。 繁桝先生の話題提供では続いて、心理学研究における仮説検証の問題として5点が取り上げられた。 第1は、帰無仮説と仮説・反証の関係である。心理学でよく使われている統計的仮説検定のロジックは、
第2に、被験者数を多くすると必ず帰無仮説は棄却される(統計的に有意となる)という問題がある。被験者数を多くすれば測定の精度は高くなるが、そのことで研究仮説が必ず成立するのは明らかに不合理であると論じられた。 第3に、従来の統計的仮説検定というのは、帰無仮説を棄却するか保留するかという二者択一の決定であるが、そのさいの慣行である5%有意水準には特段の意味はない。もともと5%というのは、フィッシャーが20年に1回の間違い(すなわち5%の間違い)は許されるであろうという農事試験場の経験則から提案したものであってそれ以上の意味は持たないと論じられた。 第4は、正規分布(別名誤差分布)をモデルとする検定が圧倒的に多い。これは単に便利だから利用しているだけであって、現実のモデル、特に心理現象が本当に正規分布に従うとは考えにくい。 第5は、研究仮説の真偽判定のためには、それらの関数や将来の観測値の振る舞いのほうが、分布の未知のパラメターによる検定法よりも、直接的な答えを提供できる場合がある。しかし、従来型の統計的仮説検定はこの要望に応えていないという御指摘であった。 以上の5点のうち、第2の「被験者数を多くすると必ず帰無仮説は棄却される」というのはよく分からなかったが、サンプル数がきわめて少ない時は、比率に偏りがあっても棄却されにくく(そのような偏りが偶然であったということが否定できない)、サンプルを増やせば棄却されやすくなるということは確かだと思う。但し、なぜそれが「必ず」なのかは分からない。 第3についてはこちらに分かりやすい解説が載せられていた。リンク先の Fisher (1925). Statistical Methods for Research Workers. で確認できるはずだが、原典にあたる余裕が無かった。 不定期ながら次回に続く。 |