じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 12月16日(日)の朝はよく晴れ、東の空には、マイナス4.6等の金星のほか、前日に西方最大離角となった水星(マイナス0.4等)が輝いていた。水星の下にはさそり座のアンタレスも見えていた。
 水星の明るさに合わせたわけでもあるまいが、岡山の16日朝の最低気温はマイナス0.3℃でこの冬初めての氷点下となった。
追記]アンタレスではなく、木星の可能性が高いようだ。


2018年12月15日(土)



【連載】

チコちゃんに叱られる!「なぜ音楽室には肖像画がある?」/肖像画の右向き、左向き談義

 12月14日のNHK「チコちゃんに叱られる!」(第31回)で

●なぜ音楽室には肖像画がある?

という話題を取り上げていた。正解は「楽器のおまけだったから」であり、ウィキペディアのリンク先にも、
【全音楽譜出版社は】楽器事業では、音楽教育向けのリコーダーや鍵盤ハーモニカ「ピアニー」、打楽器などを製造販売しているほか、モラレスブランドとしてギターも製造し、エレキブームの際にはモズライト・ギターのコピーモデルが人気を博している。楽器事業としては後発だったため、販売開始当初クラシック音楽家の肖像画を描いたカレンダーを作成し楽器を購入した学校におまけとして配布したところ好評を博し、学校の音楽室に肖像画が掲げられるようになる。後に文部省(現・文部科学省)が1967年(昭和42年)に「教材基準」を整備するにあたって音楽家の肖像画を含めるようになり、商品として「世界大音楽家肖像画集」が扱われるようになっている。
という経緯が記されており、今回の番組に乗じて全音 世界大音楽家肖像画集 増補版の紹介記事が全音の公式サイトの中にも設置されていた。

 なお、ネットで検索したところ、この「音楽室肖像画ネタ」は以前に民放の番組で取り上げられたことがあるらしく、こちらの方のブログに今回の「チコちゃん」の番組内容とそっくりの解説が紹介されていた【日付は2012年2月10日となっていた】。同じブログには、「鉛筆はなぜ六角形なのか?」というチコちゃんの第29回で取り上げられた話題も紹介されており、穿った見方をすると、チコちゃん番組制作スタッフが、5〜6年以上前に放送された雑学番組の中からネタ探しをしている可能性があるのではないかという気もした。もちろん、だからといってネタを盗んだというつもりはない。この種の学校ネタの数は限られており、他にもいろいろな番組で使い回されている話題はいろいろある。5〜6年も経てば小学生だった子どもは中高生に、中高生だった子どもは大学生や社会人になっているので、ちょうどいい具合の周期で新鮮な疑問として受け止められる可能性がある。




 ここから先は全く別の話にあるが、以前、私のゼミの院生が、肖像画は左右どちら向きが多いか、を調べた研究論文を紹介したことがあった。詳細は忘れてしまったが、
  • 顔の右半分は左脳の活動を反映しやすい。→顔の右側(肖像画や写真で言えば、向かって右を向いている側)は、論理的、理性的な特徴を表しやすい。
  • 顔の左半分は右脳の活動を反映しやすい。→顔の左側(肖像画や写真で言えば、向かって左を向いている側)は、感情や芸術的活動を反映しやすいので、優しい印象を与える。
という、右脳・左脳論に依拠したものであり、
  • 女性の肖像画は優しさを強調するため、左向きが多い。
  • 学者の肖像画は理性を強調するため、右向きが多い。
という仮説のもとに検討したというような内容であったと記憶している。

 もしこの仮説が正しければ、音楽家の肖像画は芸術性を反映して、向かって左向きが多いのではないかと予想されるが、全音がおまけにつけたという大貫松三の作品(模写?)を拝見すると【外国人のみ】、
  • 向かって右向き:
    バッハ、コレルリ、ヘンデル、ショパン、メンデルスゾーン、グノー、シューベルト、モーツァルト、ウェーバー、リスト、フォーレ、ラヴェル、ビゼー、グリーグ、リムスキー・コルサコフ
  • 向かって左向き:
    ベートーベン、パレストリーナ、ドビュッシー、ハイドン、ブルックナー、ヴェルディ、チャイコフスキー、ロッシーニ、ストラヴィンスキー、プッチーニ、ブラームス、サンサーンス
  • 殆ど正面:
    グルック、シュトラウス、ワーグナー、ベルリオーズ
となっており、右向き15人、左向き12人、正面4人という内訳からみて、特段の偏りはないように見えた【顔の向きは、耳のはっきり見えている側により判断した。両耳が同程度に見えている場合は正面向きとした。】

 音楽家以外の肖像画や写真についても色々な議論や俗説があるようだが、少し前に取り上げた考え事をする時にはどちらの方向を向くかという話題と同様、それほど顕著ではない可能性が高い。

 なお、顔の向きについては右脳・左脳論とは全く別の理由で偏りが生じる可能性もある。
  • 右利きの人が横向きの顔や動物を描く時には、向かって左向きのほうが描きやすい。特に動物を描く場合は、鼻先からシッポの方向に絵を完成させるので、右手は左から右の方向のほうが動かしやすいため(筋肉の性質というより、横に文字を書くなどの習慣による?)、結果として左向きになりやすい(関連する話題がこちらの連載「人間界の左と右」にあり)。
  • 日本のお札に描かれている顔はみな向かって左向きだが、これは単に、顔画像が紙幣右側に配置されているためと考えられる。顔画像を中央あるいは左側に配置した紙幣では向かって右向きになっている外国紙幣もある。
  • 何らかの身体的な事情(片眼が失明しているなど)で、どちらか片方ばかりを向いた写真を公開している人もいる。
 なお、トランプの絵札は12枚中、向かって左向きが8人、右向きが4人となっているが、それぞれの「伝説の英雄」がなぜそういう向きに描かれているのかは不明。