じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の裏山のコンクリートの壁に生える苔。岡山では1月20日の午前中、合計2ミリの雨が降った。0.5ミリ以上の降水を観測したのは昨年12月30日以来2週間ぶり、また2.0ミリ以上の雨としては昨年12月22日以来、ほぼ1カ月ぶりとなり、一気に生気を取り戻した。
 いちめんの苔は、空から眺めた緑の高原地帯が思い出される。

2019年1月21日(月)



【連載】

チコちゃんに叱られる!「タイムマシンの原理」、「サウスポーの由来」

 昨日に続いて、1月18日に放送されたNHK 「チコちゃんに叱られる!」の話題。

 番組の後半では、
  • タイムマシンがないのはなぜ?(2018年6月22日放送の再録)
  • どうして左投げピッチャーのことを「サウスポー」って言うの?(2017年12月27日の再録)
という疑問が取り上げられた。

 最初のタイムマシンについてはこのWeb日記でも何度か取り上げたことがあった。 もっとも、上記はいずれもタイムマシンの原理そのものを考察したものではなく、「もしタイムマシンがあったら」という仮想の話、あるいは、映画に関連した話題ばかりであった。

 元の番組の話題に戻るが、「新幹線もタイムマシン」とか映画「元祖・猿の惑星」の話題(宇宙船が不時着した惑星はじつは人類文明の崩壊した地球だったという、「高速で動いている物体の時間は止まっている物体の時間よりゆっくり進む」という相対性理論に基づく話は、私にはいまだに理解できないところがある。

 そもそも、「高速」とか「同じ場所にとどまっている」と言ったところで、宇宙のあらゆる物体は常に移動しているはずだ。ビッグバンの理論や観測事実によれば、どうやら宇宙は加速膨張しているとのことだが、であるなら、何が止まっていて何が高速で動いているのかということは絶対的には判定できないはずである。仮に、地球から飛び立った宇宙船が光速に近いスピードで太陽系外まで行って再び地球に戻ってきたとした場合、宇宙船内の時間は遅れるので、その地球は何千年も先の地球ということになるという。しかし、その宇宙船の進む方向が宇宙の中心であったとすると、「宇宙船の移動は、宇宙の加速膨張に逆らうように「ブレーキ」をかけたことになるはずだ。そうすると、じつは宇宙船は停止状態を保つことになって、高速で宇宙の中心から遠ざかっている地球のほうが宇宙船停止場所から高速で移動していることになるから、その分時間が遅れるはずである。ところがその後、突然、宇宙が収縮を始めて、地球が宇宙船の停止場所まで戻ってきたとする。宇宙船はずっと止まっていたままなので、地球のほうが時間がゆっくりと進むことにはならないのだろうか。となると、宇宙船の乗組員が地球に降り立った時の時間は、宇宙船よりゆっくりと流れていたはずである。宇宙船ので世代交代があって乗組員の孫が地球に降り立ってみたら、(その孫からみて)祖父の兄弟にあたる人が若者のままで暮らしていたということにはならないのだろうか。ま、とにかく、高速とか静止という概念自体が相対的であるはずなのに、なぜ時間の流れが一義的に決まるのかがよく分からない。

 次に、もう1つの、

●どうして左投げピッチャーのことを「サウスポー」って言うの?(2017年12月27日の再録)

という疑問に関しては、ウィキペディアの該当項目に、
英語でサウス(south)は南を、ポー(paw)は動物の前足を意味する。野球場は、午後の日差しが観戦の妨げにならぬよう、バッターからピッチャーを向く方向が東北東になるよう設計されるのが一般的であった(但しその場合守備はやりにくくなる)。このため左投手は南側の手(paw)で投球することになり、その事から左投手がサウスポーと呼ばれるようになったという説が主流であるが、『The Dickson Baseball Dictionary』にはこの説は幻想に過ぎない、とあり、NHK総合テレビで2017年12月27日に放送された『チコちゃんに叱られる!』で取り上げられた。また、アメリカ南部出身のピッチャーに左腕投手が多かったためサウスポーと呼ばれ始めたという説もある。
と記されており、なっなんとこの番組の内容が引用されていた。

 ちなみに、番組では、「fanciful」が「幻想(「この説は幻想に過ぎない」)」と訳されていたが、ここでは「fanciful」は、「根拠の無い作り話にすぎない」程度の意味であって「幻想」は大げさであるように思う。

 では結局、サウスポーの語源はどうなっているのかということだが、ネットで検索したところ、いろいろな歴史や語源を取り上げていると思われるWebサイトの中に、

Why are left-handers called “southpaws”?

という記事があることが分かった【なお、上掲のリンク先は、悪意あるプログラムが勝手にインストール恐れがあるかもしれないので注意されたい(←私のブラウザでは、しばらく表示しているうちに、そのような警告が出て表示が遮断されてしまった。)】。要点を箇条書きにして抜粋すると、
  • A left-handed pitcher facing west would therefore have his pitching arm toward the south of the diamond.” As the third edition of “The Dickson Baseball Dictionary” points out, however, that origin story is a little too simplistic. 【「南側の手だから」という説は少々単純すぎる】
  • The earliest baseball mention of a “southpaw”―as found by Tom Shieber, senior curator at the National Baseball Hall of Fame―appeared in the New York Atlas in 1858, but in reference to a left-handed first baseman, not a pitcher. 【サウスポーという呼称は1858年に初めて使われたが、その選手はピッチャーではなかった。】
  • Boston Globe baseball writer and former ballplayer Tim Murnane also recalled in a 1908 edition of Arizona’s Bisbee Daily Review that a St. Louis newspaper had called him a “southpaw” in 1875 because he was a left-handed batter. 【1908年にサウスポーと呼ばれた選手も左打ちのバッターであった。】
となっていて、どうやら、南側の手(paw)で投球するという説は語源的には間違いであることがほぼ確実であるようだ。

 なお、上掲の記事(番組で言及された2015年7月のウォールストリート誌記事と出典は同じ)では、ボクシング由来説や政治マンガなどで、1860年や、さらに古い1848年に「左利き=south paw」という呼称が使われていた証拠があると指摘されていた。番組のほうでは、ディレクターが日本ボクシングコミッションまで出向いて確認したがボクシング由来ではないと否定されてしまったところで話が終わってしまったが、とことん調べるのであれば、もう少し英語文献にあたってみる必要があったのではないかと思われた。(但し、初出がいつかということと、その呼称がどういう経緯で広く使われるようになったのかということは別。古い文献に「サウスポー」という言葉があったからといって、その言葉が全く注目されないまま埋もれてしまっていたとしたら、由来にはならないだろう。)