じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 イロハモミジとヤマモミジを葉っぱの形状だけから区別するのは難しい。いっぽう、翼果については、こちらに、
イロハモミジの実は一番小さく、翼状の実(翼果)は竹とんぼのように、水平に開きます。また葉の上からかぶさるように実をつけるのが、ヤマモミジやオオモミジと区別する大きなポイントです。ヤマモミジとオオモミジは、翼果はブーメラン形かU字状となり、実は葉の下からぶら下がるように付く点がイロハモミジと異なります。
というように説明されており、これに従えば、写真Aはイロハモミジ、写真Bはヤマモミジであることがすぐに分かる。写真Cは翼果が水平で葉の上についているのでイロハモミジのようにも見えるが、近くにある親樹では翼果が葉の下についており、区別が難しい。(葉っぱの形や大きさからはヤマモミジの可能性が高い。)

2019年5月15日(水)




【連載】

遺伝子の最新研究と心理学の将来(2)DNAの98%の働きと顔の特徴

 昨日の続き。このシリーズは、 というように、第1集と第2集の2回に分かれている。どちらも、「生まれ持った遺伝子の情報だけですべてが決まるものではない」という点では共通しているが、話題の対象は異なっており注意が必要である。私が理解した範囲で要約すると、まず、DNAには遺伝子と呼ばれる2%と、「何の働きもしないゴミ(ジャンク)だ」とさえ言われてきた98%の部分がある。その上で、
  • 第1集:98%の部分には、「病気から体を守る特殊なDNA」や、「私たちの個性や体質を決める情報」がある。98%を分析するだけでその人の顔の特徴を本人そっくりに再現できる可能性がある。
  • 第2集:2%の遺伝子に関するDNAスイッチ(専門的にはエピジェネティクス【後成遺伝子】)。そのオンオフによって運命を変えることができる可能性がある。
要するに、第1集では「2%の設計図がどの程度読み取られるのかは、遺伝子以外の98%の働きによって決まる」という話題、第2集は「2%の設計図の働きを変えるスイッチ」という話題であった。第2集の冒頭部分を聞き逃してしまうと、DNAスイッチとは98%の部分をすべて含んでいるかのように誤解してしまいそうだが、どうやらそうではなさそう。とはいっても、「病気から体を守る」という働きは98%の部分に含まれる特殊なDNAによっても、また、殆どの人の遺伝子に含まれる防御システムのスイッチをonにすることによっても可能であり、「病気にかかりにくい人、かかりやすい人」がどちらに起因するのか分からなくなってしまいそうな部分があった。なお、エピジェネティクスに関しては、「又吉直樹のヘウレーカ!」でも複数回取り上げられたことがあった。

 さて、第1集ではまず、

●DNAの98%には、設計図(遺伝子)によって作られる物質の量やタイミングをコントロールする役割がある。

と説明された。これによって、「骨を作る」、「筋肉を作る」、「がんを抑制する」、「アルコールを分解する」、「アルツハイマー病を防ぐ」、「アレルギーを抑制する」といったコントロールに個体差が生じる。

 よって、98%の部分を精密に解析すれば、例えば顔の特徴を決める骨の生成、例えば、「顔の輪郭」、「あごの幅」、「目の大きさ」、「目と目の間隔」、「鼻柱の形」、「鼻の高さ」、「口の大きさ」、「唇の形」などがどのよう程度、量的にコントロールされたのかが判明する。よって、これを元に本人の顔を再現することができる。

 ここからは私の解釈になるが、これは要するに、レシピに基づいて料理を作るようなものであろう。といってもレシピ(DNA2%にあたる遺伝子)には、その料理に必要は食材や調味料、「煮る」、「焼く」といった大ざっぱな調理法が記されているに過ぎない。実際に、調味料をどのくらい使うか、どのくらい時間をかけて煮るのかというのは、調理人の技(DNA98%)にかかっている。それゆえ、レシピだけでは同じ料理を作ることはできないが、調理人の技にあたる部分を精密に記録しておけば、そっくりの料理を作ることができるだろう。これが顔の再現ということになる。

 実際、この技術によって、犯行現場に残されたDNAだけから犯人の顔写真を作成したところ、実際に逮捕された犯人の顔にそっくりであったという事例、また、鈴木亮平さんのDNAだけから再現された顔がご本人そっくりであったという事例が紹介されていた。

 もっとも、DNA98%の情報から顔の特徴を予測できるというのはそれほど驚くにはあたらないかもしれない。というのは、人間の顔というのは多様で誰一人として同じ顔つきにはならないように思われるが、その差違を決めるのは上にも上げた、「あごの幅」、「目の大きさ」、「目と目の間隔」、「鼻の高さ」、「口の大きさ」などによって決まってくる。それぞれの要因が「大、中、小(あるいは、「高、中、低」、「長、中、短」など)のいずれかであるという量的情報が得られれば、その組み合わせから顔の特徴を推測することはそれほど困難ではないだろう。要するに、人の顔がみな違って見えるのは、顔の特徴を決めるn個の諸要因の組み合わせの数が膨大になるためである。特徴それぞれを大中小の3通りにカテゴライズすると、n個の組み合わせの数は3のn乗であり、かつn個が独立していると考えるならば、nが21個あるだけで、組み合わせの数は104億6000万通りとなり世界の人口を超えてしまう。

 このほか、人の顔を見る時には、多少の違いがあっても「同じ人だ」と見えてしまうことがあり(少しの違いだけですべて別の人に見えてしまうと、特定人物の同定ができない)、DNAだけから推定した犯人の顔や鈴木亮平さんの顔が本人そっくりに見えるのも、「同じ人だ」という先入観によって判断されている可能性がある。

次回に続く。