Copyright(C)長谷川芳典 |
時計台前の芝地に咲くネジバナ。梅雨入り後、たくさんの花茎を伸ばしている。今年は、草刈りのタイミングが良かったことと、適度に雨が降って芝地の湿り気が保たれているためか、例年より殖えているように見える。 |
【連載】 行動分析学用語(第3期分)についての隠居人的独り言(3)「強化子」と「弱化子」(1) 昨日に続いて行動分析学用語(第3期分)の話題。今回は、リストの中の「提示型強化子」、「除去型強化子」、「提示型弱化子」、「除去型弱化子」といった訳語の中で使われている「強化子reinforcer」、「弱化子punisher」という言葉について独り言をつぶやくことにしたい。 この話題は長谷川版の中の発展学習「好子と嫌子の呼称問題」でも取り上げた通りである。私自身は、自らが担当してきた授業では、「reinforcer」は「好子」、「punisher」は「嫌子」という呼称を使用してきた。それが唯一無二の最適の呼称であるかどうかは別に議論する必要があるが、とにかく、「強化子」や「弱化子」という呼称は望ましくないというのが私の持論である。 その一番の理由は、 ●「強化子」、「弱化子」という言葉を使ってしまうと、「強化子とは強化をもたらすもの」「弱化子とは弱化をもたらすもの」という誤解が生じる恐れがある。実際には、弱化子によって強化されたり、強化子によって弱化されることもある。「好子」や「嫌子」という呼称を使えば、行動の結果事象としての「好子」、「嫌子」と、行動の変容を記述する概念としての「強化」、「弱化」を明確に区別することができる。 という点にある。これに加えて、「好子」と「嫌子」を使えば、
というのが隠居人の独り言であるが、第一期分リストまで残っていた「好子」、「嫌子」という呼称は、第二期分リストから姿を消しており、どうやら、異端になりつつあるようである。最新の役員体制を拝見しても、各位の御著書の中で「好子、嫌子」を積極的に使っておられる研究者は極めて少なく、大勢は「強化子」、「弱化子」に傾きつつあるようにも思われる【←これも、あくまで独り言】。 次回に続く。 |