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6月29日の日記で、山登りに備えて久しぶりに登山靴を履いて散歩に出かけたところ靴底のソールが次々と剥がれ落ちた【写真上】、という話題を取り上げた。接着剤でソールをつけ直すことも可能だが、登山中に再び剥がれてしまっては事故に繋がりかねない。やむなく、通販でキャラバンシューズを注文した【写真下】。加齢により体力、脚力が年々衰えていく中で、この先ひんぱんに山登りに出かける予定はない。これが人生最後の登山靴ということになりそうだ。 こちらの記事によれば、キャラバンシューズは1954年に販売開始、今年で65周年になるという。私が初めて単独で山登りに出かけたのは中学3年の時であったが、その時に履いていたのもキャラバンシューズであった。私自身の登山歴も、キャラバンシューズに始まりキャラバンシューズで終わるということになる。 |
【連載】 行動分析学用語(第3期分)についての隠居人的独り言(4)「強化子」と「弱化子」(2) 昨日に続いて行動分析学用語(第3期分)の話題。用語の議論からは少々脱線するが、今回は 「強化子(好子)」、「弱化子(嫌子)」とは何か? ということについて私の考えを述べておきたいと思う。ちなみに、これらの定義については、『行動分析学事典』でちゃんと解説されているはずだと思うが、年金生活に入った私は、残念ながらこの本を購入できる資金が無い【←登山靴を買う余裕はあるのか?】。いずれ図書館で関連項目を閲覧したいと思っている。 ということでここからは私のオリジナルの考えになるが、まず、 ●人間や動物から独立して存在するような普遍的な強化子(好子)や弱化子(嫌子)は1つも存在しない。 ということを確認しておく。要するに、強化子(好子)や弱化子(嫌子)と呼ばれる刺激事象自体の化学的成分や物理的性質をどのように分析したとしても、そのなかから「これは強化子(好子)だ」というような判定はできないということである。 もちろん、生得的な強化子(好子)は、概ね、その生活体の生存や繁殖を有利にするような結果をもたらし、生得的な弱化子(嫌子)は、概ね、その生活体に有害な結果をもたらすことが多い。これは当然のことであって、有害な刺激事象の出現によって強化されたり、有益な刺激事象の出現によって弱化されたりする動物は、この世界では適応困難になるからである。 とはいえ、同一の刺激事象が絶対的な強化子(好子)となるのはその動物の生存・繁殖に不可欠な食物等に限られており、絶対的な弱化子(嫌子)となるのは明らかに有害な刺激事象(怪我や食中毒に関連する事象)に限られている。 例えば、「水」という刺激事象は、砂漠で遭難した時には重要な強化子(好子)となるが、プールで溺れかけている時には弱化子(嫌子)となる。お金は一般的には強化子(好子)であるが、ボランティア活動を生きがいにしている人の中には謝礼としてのお金を拒否する人もいる。「ご褒美」は一般的には強化子(好子)であるが、お絵かきを楽しみにしている子どもにご褒美を与えると逆効果になってしまう場合もある。 では、強化子(好子)や弱化子(嫌子)はどう定義すればよいのか。私の考えは以下の通りである。
上記の定義では、「強化」、「弱化」、「強化子(好子)」、「弱化子(嫌子)」はすべて記述概念であって説明概念ではない。なので、 ●その行動が増加したのは、強化子(好子)が随伴したからである。 という言明はトートロジーになってしまう。にもかかわらず、強化子(好子)や弱化子(嫌子)の概念が有用である理由については、こちらに述べた通りであり、「場面転移性」や「制御可能性」が経験的に知られており、実験的行動分析や応用行動分析の場面において有用な概念になりうるからに他ならない。 さらに、「何が強化子(好子)か」あるいは「何が弱化子(嫌子)か」という文脈依存の議論を脇においた上で、普遍性のある強化理論、弱化理論を体系化できるというメリットがある。例えば、強化スケジュールに関する諸法則は、強化子(好子)が何であるかにかかわらず成り立つものである(もちろん例外もある)。 次回に続く。 |