じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 津山線沿いのマルバルコウソウ。キハ47形(40形?)の車体の色とほぼ同じ朱色となっている。なお、最近、ベージュ色の車両を見かけなくなったが、塗り替えたのだろうか。なお、この車両の前照灯は白っぽくて明るいLED灯を使用している。


2019年8月19日(月)



【連載】

又吉直樹のヘウレーカ!「なぜハダカじゃなく服を着るのか?」(1)

 7月31日放送の又吉直樹のヘウレーカ!「なぜハダカじゃなく服を着るのか?」の話題。

 このタイトルを見た時には、
  • 地球上の人間の殆どが、服を着て生活しているのはなぜか?
  • なぜ人間の体毛は薄いのか。チンパンジー、ゴリラ、オランウータンのような毛むくじゃらでなかったことは進化上どういう利点があるのか?
というような内容を予想したが、実際は、服飾科学のような話題であった。「なぜ水がここに流れているの?」の回もそうだったが、うーむ、タイトルの付け方と番組内容に微妙なズレがあるように思う。

 ということで、番組内容に入る前に上掲の2つの疑問について私なりに考えてみる。

 まず「地球上の人間の殆どが、服を着て生活しているのはなぜか?」であるが、主な理由として考えられるのは、
  1. 外気温からの保護
  2. 有害昆虫、紫外線、接触などからの皮膚の保護
  3. 性的行動の抑制
の3点である。
 まず1.であるが、ヤノマミやイゾラドと呼ばれている人たちが暮らすアマゾンの熱帯雨林などを除けば、地球上、1年中ハダカのままで暮らせる場所は殆ど無い。2.も同様であり、服を着ていたほうが蚊にさされにくいし、紫外線で肌がタダレることもないし、何かで擦ったり尖った物に触れて怪我をするリスクも低下する。
 1.と2.のような理由で服を着るようになると、ハダカの姿は相対的に性的興奮を高める可能性がある。日常生活の中で性的な行動が過剰になると、生産活動を低下させたり、共同生活の秩序を壊す恐れがある。なので、殆どの近代社会では、全裸のまま街中を歩くことは禁じられているし、性行動や性器を写した写真はわいせつ物として取締の対象になっている。
 もっとも、ハダカであることが直ちにわいせつというわけではない。常に全裸に近い状態で生活しているような南米アマゾンの部族にあっては、もはやハダカの姿は当たり前であって、おそらくそれだけでは性的興奮には至らないであろう。

 次の「なぜ人間の体毛は薄いのか?」については勉強不足でよく分からない。ネットで検索したところこちらに「なぜヒトだけ無毛になったのか」(日経サイエンス2010年5月号)という記事があった。それによれば、
...ゾウやサイも体毛がほとんどないが,暑い地域にすむ大型哺乳類の場合,むしろ体温が上がりすぎる危険が常につきまとうので,毛皮はむしろ邪魔になる(氷河期のマンモスや毛サイには毛皮があった)。
 私たちヒトの場合はどうだろう? 実はやはり体温の上がりすぎを防ぐための進化のようだ。ヒトの場合,保温効果のある毛皮をなくしただけでなく,熱の発散に非常に効果的な水分の多い汗をかく。犬や馬などの汗はもっと脂っぽいため,熱を逃がすという点では十分ではない。
 なぜ,過熱を防ぐことがそれほど重要になったのか? それはヒトの祖先でのライフスタイルの変化がある。森から草原に出たヒトの祖先は,食べ物を求めて長距離を歩いたり走ったりするようになった。活発に動き回っても体温が上がりすぎないための仕組みが必要だったのだ。...【以下略】
となっている。チンパンジー、ゴリラ、オランウータンなどがが毛むくじゃらのままで人類だけが無毛になったのは、森林から草原に生活の場を移したことに一因があるようだ。もっとも、草原で活発に動き回る時に無毛のほうが利点があるというなら、キリンやシマウマやそれを追いかけるライオンもみな無毛に進化したはずである。より人間に近い動物で言えばヒヒなども毛むくじゃらのままで生活している。なので、単純に「熱の発散」という利点だけで人類が無毛化したとは考えにくいように思う。
 なお、人間の体毛に関しては、なぜ、頭髪、(男性の)ヒゲ、脇の下、股のあいだというように、なぜ体の一部だけたくさん毛が生えているのかという疑問も残る。

 ちなみに、大型の恐竜は、私が幼かった頃は無毛と考えられていたが、最近の研究では結構羽毛が生えていたようである。5月2日にも取り上げたように、恐竜の羽毛は体温の保持、羽毛を誇示した求愛行動という繁殖上の利点をもたらし、そこから鳥類が誕生したようである。

 哺乳類の毛皮、鳥類の羽毛はいずれも進化上のメリットがあったが、最終的にはハダカの人類によって衣類や寝具の材料として利用されてしまった。見方を変えれば、人類がハダカのままで地球上に生き残ることができたのは、毛皮や羽毛を身につけた他の動物たちのおかげであると言うことができる。

 次回に続く。