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夕方になって開花する草花火(タリナム、タリヌム・カリキヌム)。最近はほったらかしにしているため、花の数が少ない【5年前の写真参照】。 |
【連載】#チコちゃんに叱られる! 「なんで鯛は赤いの?」 昨日に続いて7月3日放送のNHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。 本日は、
番組では、鯛が赤い理由は「一番目立たない色だから」と説明された。赤は人間にとっては目立つ色だが、鯛が育つ環境では目立たない保護色になっているという。水の中では赤い光が一番吸収されやすい。鯛は自分が暮らす環境で目立たない色となる赤を進化の過程で選んだと考えられているそうだ。番組ではそのあと、いろいろな色の服を来た芸能人の写真を海の中に沈めてどの色が目立つのか、という実験が紹介された。実験によると、確かに、赤は最初に色を失ういっぽう、青は鮮やかさを遺していたが、黒も同程度だが、それよりも白いワイシャツや歯が目立っていた。 以上は、分かりやすい説明のようにも思えたが、いくつか納得できない点があった。 まず「鯛は自分が暮らす環境で目立たない色となる赤を進化の過程で選んだ」という表現は間違っている。我々は服の色を選べるが、鯛は自分で色を変えることはできない。あくまで、「赤い色の鯛が結果として生き残った」と考えるべきであろう。6月30日にも書いたばかりだが、進化は誤解されやすい。 でもって、なぜ、赤い色の鯛が生き残ったのか?が問題となってくる。 その前に、体の色が「見えにくい色」であることにどういうメリット、デメリットがあるのかを挙げておこう。ざっと思いつくのは、
さて、番組では1.の保護色のメリットを強調していた。実際、鯛と同じ深さの海に住む生物の中には赤色が多いという(番組紹介されたのは、ボタンエビ、ベニテグリ、ホウボウ、アカグツなど)。しかし、外敵に見つかりにくい、というのが決定的に重要であるというなら、海中の生物はみんな赤色になってしまうはずだ。となると、「イカはなぜ赤くないのか?」といった別の疑問が出てくる。また、餌になりやすい小魚・小生物ほど赤い色の比率が高まるはずであるが、実際は小さい魚のほうが赤色が多いという傾向は無さそうである(←サメやマンタは赤くないので、大型生物が赤くないことは確かだが)。 鯛は赤いと言われるが、実はそれほど赤く無いようにも思われる。ゆでたタコ、エビ、カニなどは赤いが、生きている時はそんなに赤く無い。光のスペクトルでいう純粋な赤の波長と、これら生物の体色が本当に対応しているのかも精査する必要がある。 さらに問題となるのが、海中での色の見えにくさである。一般に色が見えにくい原因は、大きく分けて2つある。
最近の研究によれば、どうやら魚の色覚は他の生物よりも発達しているらしい。但しそれは色々な波長の光が届く浅い海の話ではないだろうか。鯛と同じ深さの海に暮らす外敵がどの程度色を見分けられるのかを調べなければ、番組の「赤色=保護色」説は成り立たない。要するに鯛を捕食する外敵が色を見分けにくい生物であるとするなら、鯛が赤でも青でも黄色でも、食べられるリスクには差が無いという可能性がある。 ということで、番組では取り上げられた「鯛はなぜ赤いのか?」は、「(一定の深さの)海に住む生物はなぜおしなべて赤いのか?(あるいは必ずしも赤く無いのか)」というように疑問を拡張して考える必要がある。 あと、素人の私にはよく分からないが、魚の色というのはうろこの形状のほか、色素の生成で一定の制約を受けている可能性があるように思う。「金魚はなぜ赤いのか?」は、おそらく人間がそのように品種改良した結果であると言えるが、だからといって青色や緑色の金魚を作ることはできない。このほか、(野生の)熱帯魚にはカラフルなものが多いが、カラフルであること自体が保護色なのかという疑問のほか、なぜああいう色素を生成できるのかといった疑問も浮かんでくる。 次回に続く。 |