Copyright(C)長谷川芳典 |
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教育学部東には5体ほどの裸体像が展示(放置?)されているが、そのうちの一体(男性像)が蔦に絡まれて新たな芸術を創り出している。タイトルは『大自然の復讐』、あるいは『人類を滅ぼす宇宙植物』あたりか。 |
【連載】ヒューマニエンス90分SP 「人間を生んだ力とは?」その2 Y染色体自滅の危機 昨日に続いて、NHKヒューマニエンス〜40億年のたくらみ〜、 ●90分SP 「人間を生んだ力とは?」 についての感想と考察。 番組では続いて、「男は消滅するのか」という衝撃的な話題が取り上げられた。 まず、2002年、Nature誌に、 Aitken & Graves (2002). Human spermatozoa: The future of sex. Nature, 415, 963. という論文が掲載され、その中で、 At the present rate of decay, the Y chromosome will self-destruct in around 10 million years.と指摘されていることが紹介された。番組では、上記の「around 10 million years」は「およそ数百万年後」と訳されており、また、登場した遺伝学者のGraves(ジェニファー・グレーブス)博士は、「Y染色体が完全に無くなるのは500万年から600万年後であると予測した。しかし突然変異が起これば、世界のどこかで来週消えてもおかしくない」と語っておられた。 続いて、Y染色体がなぜ自滅していくのかについて分かりやすい説明があった。今から1億6600万年前、Y染色体は、もともとX染色体とほぼ同じ大きさであったと考えられている。ところが、その後、Y染色体だけが傷つき、徐々に削られていった。なぜそうなるかというと、X染色体は母親の体に2本あるため、傷がついても補い合うことで修復され、男の子に引き継がれる。その一方、Y染色体は父親の体に1本しかないため、一度傷がつくと修復できずにそのまま引き継がれてしまう。こうして現在、Y染色体はX染色体の1/13まで小さくなり、また、X染色体には2000種類以上の遺伝子が含まれているのに対してY染色体の遺伝子は50種類ほどしか残されていないという。 番組ではここから、又吉直樹のヘウレーカ!でもお見かけした北大の黒岩麻里先生が登場された。黒岩先生の研究対象であるトゲネズミのオスでは、すでにY染色体は存在せずX染色体1本になっているという。通常、Y染色体には「オスを決める(精巣を作る)」、「精子を作る」という役割があるため、Yが無くなるとオスは生まれなくなるはずだが、トゲネズミの場合は、オスを決める遺伝子を別の染色体の遺伝子に置き換えるように進化した。黒岩先生は、ヒトの場合も、Y染色体が消えても性を決める遺伝子は維持されるのではないかと推測しておられた。ヒトでもすでにY染色体を持たない男性はいるし、いま生きている人たち全員の染色体を調べているわけではないので、可能性としては色々なバリエーションがすでに進行している可能性もあるという。 なお、トゲネズミの場合、Y染色体の遺伝子の減衰の過程は、なだらかな直線状ではなく、過去に数回、階段状に減り、最後には、一気に消滅してしまった。なので人間の場合も、数百万年後ではなく、来週にも消滅するということはあり得ないわけではない。 それでは、Y染色体は崩壊する一方なのか?ということになるが、黒岩先生によれば、Y染色体に他の染色体をくっつけて大きくして寿命を延ばすこともあるという。実際、哺乳類が有胎盤類から分化した時点で、哺乳類はY染色体を「修復」しているという。 さて、ここからは私の考察(というか妄想)になるが、まず、Y染色体の崩壊は意外に速く、おそらく、私たちの数世代あとぐらいに深刻化してくるのではないかと思われる。今回の新型コロナワクチンは別としても、今後さまざまなウイルスの脅威に晒され、それを防ごうとしてワクチン漬けにされてしまうようになると、何らかの副反応が原因でY染色体が一気に消滅するという恐れが出てくるような気がする。 しかしその段階で、トゲネズミのようにオスを決める遺伝子を別の染色体の遺伝子に置き換える進化が実現するとは思えない。そこで、とりあえず、男性の中で、Y染色体を持ち続けている人たちが注目されるようになる。そこから先の可能性だが、まず、一夫多妻制により子孫を保持するということは起こりにくいように思われる。よほど裕福な男性でないと一夫多妻は維持できなくなるからである。それに代わる可能性としては、Y染色体を持った精子を大量に凍結保存して将来に備える対策がとられるかもしれない。その場合、
また、Y染色体を保有する男性が、特定の人種に限られているとすると、将来はその人種の人口ばかりが増えるようになる。そうなると、その人種が多数派を占めることで他の少数派の人種を支配するようになるかもしれないし、逆に富裕層や支配層が少数派の高齢者として生き残った場合、若者の多い多数派の人種を奴隷のように扱い、そのうちいつかは反乱が起こって特定人種だけの世界になるという可能性もある。 いっぽう、医療技術の進歩により、Y染色体を修復したり、別の染色体で人為的に性を決定する仕組を作れるようになるかもしれない。しかし、そうやって人工的に遺伝子操作を行った際に、他者に攻撃的な性質をもつ遺伝子が増幅されて、うまれてきた新人類がお互いを攻撃し、結果的に、全滅してしまうという可能性もある。 ま、いろいろ考えてみたが、いずれにせよ、人類絶滅を招く最大のリスクは、疫病でも核戦争でもなく、おそらく、子孫が作れなくなることであると思われる。人類の将来は前途多難であると言わざるを得ない。 次回に続く。 |