じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 半田山植物園の臨時休園が続いているため、代替のウォーキングコースとして、農学部農場周辺を歩いていたところ、水田脇の草むらに、ほぼ同じ大きさのシマヘビ2匹が潜んでいるところが目にとまった。農場周辺では時たまヘビを目撃しているが2匹同時というのは今回が初めてであった。
 ウィキペディアによると、シマヘビの「縞」というのは横縞ではなく、4本の黒い縦縞模様のことをいう。農場周辺や半田山植物園内では真っ黒のカラスヘビを見かけることがあるが、たいがいはシマヘビの黒化型であるという【但し、ヤマカガシやマムシの黒化型もある】。


2021年6月11日(金)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「森と林の違い」/「森」と「林」を含む名字ランキング

昨日に続いて、6月4日(金)に初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察。

 本日は、
  1. 割り箸が最初から割れていないのはなぜ?
  2. アイスクリームの定番がバニラなのはなぜ?
  3. 森と林の違いってなに?
という3つの話題のうち3.の「森と林の違い」について考察する。

 番組に登場された小泉武栄先生(東京学芸大学)によれば、森と林の違いは、自然か(=森)、人工か(=林)で区別されるという。この基準は語源に基づくものであり、
  • 森:盛り上がった土地に自然に生えた木々。山に近い意味があり、「森」という名前のついた山が各地にある。
  • 林:人の手で「生やした」木々。人が管理する木々は「御林(おはやし)」と呼ばれた。
 もっとも、戦争の前後に大量の木々が伐採され、自然のまま残っていた森は少なくなり、森と林をわざわざ区別する考え方が薄れていった。じっさい、『林業百科事典』などによれば、森と林ではなく「原生林」と「人工林」というように、「林」をつかった言葉で区別されているという。明治神宮の「森」は、もともと人が植えた木々なので定義上は「林」であるが、その後150年間にわたり人の手が加えられていないという点では「森」であるとも言える。

 ここからは私の感想になるが、私自身は、森と林は、木々の密集度、食物連鎖の確立などによって大まかに区別されていると思っていた。じっさい、ウィキペディアでも、
森林、高木林のうち、比較的小規模・低密度のものを林(はやし)、そうでないものを森(もり、杜)とも呼ぶが、明確な区別はない。なお日本語の「林(はやし)」は「生やし」を語源とし、「森(もり)」は「盛り」と同語源であるという。日本の農林水産省は、人工的なもの(人工林)を林、自然にできたもの(自然林)を森と定めているのは語源に沿ったものといえる。
と記されており、規模や密度により区別しても間違いとは言えないように思われた。なお、ネットで検索すると、いくつかのサイトで、農林水産省が
  • 森:「自然にできた樹木の密集地」
  • 林:「人工的につくられた樹木の密集地」
というように定義しているという記述があったが、何かの法律に基づくものなのか、便宜上の区別なのか、出典はよく分からなかった。こちらにあるように、統計上は「森林率」、「人工林率」といった区別がなされているようである。ちなみに、リンク先の統計によれは平成29年(2017年)現在、森林率が最も高いのは高知県で84%、低いのは千葉県と大阪府で30%となっていた。

 上掲の明治神宮の場合もそうだが、私たちの身近にある里山などは、いまでは大部分が手を加えられない「二次林」となっている。私の家から見えている半田山、三野公園・天神社、龍ノ口山、操山などはすべて二次林。かつてよく登った岡山県立森林公園は大部分が自然林だが、一部植林の跡もあり、また、ミズバショウを植えたり、稀少植物を保護するなど、人間の手で管理・維持されているエリアが少なくない。

 ところで、森と林が「自然か(=森)、人工か(=林)」というように語源的に区別されているならば、「森」や「林」を含む名字や地名においても、「森」は自然の事物に、また「林」は人工の事物と結びつきやすいのではないかと思われた。そこで名字由来netのデータを基に、日本の名字Top1000の中で、「森」や「林」を含む名字としてどのようなものがあるのかざっと調べてみたところ、以下のような順になることが分かった。
  • 11位:小林
  • 18位:林
  • 22位:森
  • 60位:森田
  • 145位:森本
  • 197位:大森
  • 259位:森下
  • 270位:若林
  • 287位:森山
  • 296位:森川
  • 410位:小森
  • 428位:林田
  • 500位:森岡
  • 522位:平林
  • 609位:藤森
  • 700位:森谷
  • 701位:金森
  • 751位:中林
  • 785位:森脇
  • 827位:栗林
  • 836位:森口
  • 852位:大林
  • 927位:東海林
  • 936位:森井
  • 943位:森永
 上掲の通り、Top1000までの名字には、「森」を含む姓が16、「林」を含む姓は9であり、「森」のほうが多いが、上位100位まででは「小林」、「林」、「森」、「森田」となっていて「林」のほうが多いようだ。でもって、「森」は自然の事物に結びつきやすいという仮説については、「森山」、「森川」、「森谷」が1000位以内にあるのにたいして「林山」、「林川」、「林谷」といった姓はかなり少ないことからある程度当たっているようにも見える。なお「田」はいちおう人工物だが、「森田」と「林田」はいずれもTop1000に含まれていた。余談だが、ブラタモリで林田理沙さんがアシスタントを務めておられた時期があったが、タモリさんの本名が森田一義であることから、「森田・林田」コンビが実現していた。