じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 7月12日の岡山は朝から雨が降り続いたが、日没後にはよく晴れ、西北西の空に月齢2.3の月が輝いているのが見えた。
 この日は、月の左下のあたりに金星や火星が接近して見えているはずであるが、あいにく薄雲がかかっており、うっすら光点が見えていたものの同定はできなかった。なお金星と火星は7月13日の16時7分に0°30′まで接近するが、岡山地域はこの時間帯、発雷確率がかなり高くなっており、天体観察どころではないかもしれない。

2021年7月13日(火)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「298円ニーキュッパの起源」、「三段跳の起源」

 昨日に続いて、7月9日(金)に首都圏ほかで初回放送された、NHK チコちゃんに叱られる!の感想と考察【岡山地域は地上波では放送されず、NHK+経由で視聴】。

 本日は、
  1. 笑うとき手をたたくのはなぜ?
  2. 298円をニーキュッパと呼ぶのはなぜ?
  3. 三段跳びはなぜ3段で跳ぶ?
という3つの話題のうち、2.と3.について考察する。

 まず2.の「298円→ニーキュッパ」であるが、これは、
  • なぜ「ニーキューッパ」と発音するのか?
  • 298円、あるいは398円、980円といった価格設定にするとなぜ売れやすいのか?
という2つの疑問が含まれているように思われる。今回の放送はこのうちの前者の話題が取り上げられた。

 番組によれば、1978年に放送されたカメラのテレビCMの中で「サンキュッパ」と宣伝されたことが影響を及ぼしているという。消費者の行動と価格の関係について研究されている奥瀬喜之先生(専修大学)は「私にもよく分からないが、カメラメーカーが広めたらしいという噂がある」と言っておられたが、番組のほうでは、当時CMを作った内池望博さんが登場され、この疑問についての正解も「内池さんが2秒縮めたかったから」となっていた。
 内池さんが手がけたのは、39800円で発売された一眼レフカメラ(リコー)のCMであった。その短いCMの中で時間を節約し製品を印象づけるため、星セント・ルイス登場のCMで、「さんまんきゅうせんはっぴゃくえん」の代わりに「サンキュッパ」を使ってもらったという。

 ここで思い出話になるが、CMが放送された1978年と言えば、私にとっては、ネパール・エベレスト街道トレッキングに出かけた年であり、山の写真を撮るためのカメラを探していた時期でもあった。私が購入したのは質屋さんで売っていたペトリカメラやペンタックス(いずれも一眼レフ)であり、確かペトリは12800円であったと記憶している。新品で買えば5万円以上、ニコンのカメラともなれば10万円以上だったはずで、「サンキュッパ」という価格はカメラとしてはかなり安い印象があった。といっても、当時は1カ月5万円もあれば生活できた。

 いずれにせよ、リコーのカメラが「サンキュッパ」という衝撃価格で宣伝されていたことは確かだが、このことが、「298円=ニーキューッパ」の由来になっているかどうかは何とも言えない。例えば、私が学生の頃【1971年〜1975年頃】の娯楽と言えばパチンコとマージャーンであったが、マージャンの点数を数える時にも、似たような呼び方をしていたように記憶している。テレビCMの「サンキュッパ」も内池さんのオリジナルの発案ではなく、当時の使われていた数字の呼び方をヒントにしていた可能性があるように思われる。

 なお、「298円、あるいは398円、980円といった「端数価格」に設定にするとなぜお得感が出てくるのか?」については、奥瀬先生は、
  1. 人は値段を見る際に、いちばん左(いちばん位の高い)数字から読んでいくので【19800円ならば「1」、20000円ならば「2」】、左の数字が小さいと安く感じる。
  2. 右側の数字のかたまりが98というような中途半端になっていると、キリのいい価格から値引きされたように感じる。
という2点を挙げておられた。端数価格についてはこちらや、その関連リンクに詳しい説明があった。そう言えば私が中学生の頃、何かの教養番組で、同じ品質のハンカチを900円と980円に設定した場合、980円のほうが遙かによく売れるというような実験をしていたことがあり、心理学は面白い学問だと感じたことがあった。解説者は、頭の体操で有名の多湖輝先生であった。




 最後の「三段跳びはなぜ3段で跳ぶ?」という疑問であるが、呼称についての疑問であれば、「三段跳びだから3段、四段跳びなら4段、五段跳びなら5段、...」というだけで片付いてしまうように思われる。そうではなくて、疑問の本質は、なぜ三段跳びがオリンピックなどの跳躍種目に採用されているのかという点にある。その歴史についてはウィキペディアなどで解説されていた。
 1975年に刊行された『The Oxford Companion to Sports & Games』によれば、三段跳びの起源は1825年頃に行われていた「ホップスコッチ」という遊びかもしれないと記されているという。この遊びは日本では明治時代に導入され「ケンケンパ」として遊ばれているという。このことから番組の正解は「ケンケンパだったから」とされたが、日本ではなくスコットランドなどの村祭で行われていた石蹴り遊びが起源であるというから、「三段跳びが3段で跳ぶのはケンケンパだったから」は日本発祥であるかのような誤解を与えてしまいそうな気がする。
 なお今回の番組で初めて知ったが、三段跳びのホップとステップは同じ足で飛ばなければファウルになってしまうとのこと。