じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



07月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る


 6月14日〜7月31日に開催されているバーチャルウォーキングラリー〜富士山麓から東京を目指そう!〜に自動参加しているが、7月13日の歩数をもって無事ゴールを達成した。7月15日集計時点では、順位は1056位/13946人,60代では310位、男性では578位であった。前回の「バーチャルウォーキングラリー〜目指せ京都!あるく東海道五十三次〜」では、ゴール時点での順位は1051位/13771人,60代では310位、男性では568位であり、ほぼ同レベルであった。なお、歩数計のデータを後日登録する人もいるので、これらは最終順位ではない【私より歩数の多い人が後日まとめて登録するとそのぶん順位が下がる。また順位はゴールした順番ではなく、ゴール後を含めた期間合計歩数の順位となっている。】


2021年7月15日(木)



【連載】ヒューマニエンス 「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」 その2 レム睡眠その1

 昨日に続いて、 6月24日に放送されたNHKヒューマニエンス

「“睡眠” ヒトは眠りで進化した?」

についての備忘録と感想。

 番組では続いて、レム睡眠とノンレム睡眠の特徴が解説された。レム睡眠は、1953年に発表された、

Aserinsky, E. & Kleitman, N. (1953). Regularly Occurring Periods of Eye Motility, and Concomitant Phenomena, During Sleep. Science, 118, 273-274

で明らかになった。なお、番組の中でも紹介されていたが、レム睡眠のレムとは、「rapid eye movement sleep)の略であり、急速眼球運動が見られる。一般的には、ノンレム睡眠は「浅い眠り」、レム睡眠は「深い眠り」とされているが、実際には、
  • レム睡眠時の時のほうが脳が活発に動いている。脳は覚醒時の状態に近く、体は深く休んでいる。
  • 寝返りをうつのはノンレム睡眠。体が動かない時のほうがレム睡眠。
  • 脳波は、ノンレム睡眠ではゆっくり大きく変動。レム睡眠時は小刻みで振幅が小さく、覚醒時の脳波に近い。

 番組では続いて、上田泰己先生(東京大学)のグループが2018年に発表した興味深い研究が紹介された。それによれば、レム睡眠には2つの遺伝子M1、M3が必要不可欠であるという【これらは、もともと、神経伝達物質の受容体をつくる遺伝子とされてきた】。これらを実験的に失わせると、レム睡眠は起こらなくなる。進化的には、動物はもともとノンレム睡眠のみであったが、これら2つの遺伝子を持つことでレム睡眠ができるようになった。なおウィキペディアでは「レム睡眠は、鳥類と哺乳類にしかみられない」と記されているが、上田先生は「最近の研究ではトカゲぐらいから」と述べておられた。

 上記の脳波の違いについて、上田先生は、ノンレム睡眠時は脳の細胞がバラバラに活動し、ざわついたコンサート会場のような状態で振幅が大きく、レム睡眠時は同じハーモニーを奏でている状態というイメージであるという。ヒトの睡眠の場合、就寝後にはまずノンレム睡眠の状態となり、その後、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に生じる。なお、就寝時にまずノンレム睡眠から始まるのは、いきなりレム睡眠に入ると突然襲われた時に体が動かないというリスクがあるためと説明された。いっぽう、目覚める直前はレム睡眠の状態にある。
 いわゆる「金縛り」はレム睡眠で体が起きないのに頭が起きている状態、また、寝ている時に蚊がやってきてパチンと叩くのは、レム睡眠時に蚊の音を聞いて一瞬目覚めた状態であると説明された。「金縛り」については又吉直樹のヘウレーカ!の#3「“金縛り”はなぜ起きるのか?」でも取り上げられており【解説者は、同じく上田先生】、確かに視聴した記憶はあるのだが、私の備忘録では考察していなかった。ダビングしたDVDは残っているはずなので、そのうち再生しようと思っている。

 上にも述べたように、ノンレム睡眠は哺乳類一般で生じる。その種類は動物で共通だが、眠りの取り方は大きく異なっているという。例えばマウスの場合は、ノンレム睡眠を小刻みに繰り返し、その間にレム睡眠や覚醒状態が入っている。ヒトが長時間の眠りを確保できるようになったのは、安全が確保されたためであるが、そのことが遺伝子に書き込まれるには一定の世代交代が必要。マウスをいくら安全な場所で飼育しても、ノンレム睡眠が長時間持続することにはならない。なお、このことからの連想として、ハムスターなどの冬眠はどういう仕組なのかが気になったが、今回の放送では冬眠については全く言及されなかった。

 次回に続く。