じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡山では18日、新型コロナの新規感染者数が307人となり、過去最多を記録した。岡山県の人口は約188万人、東京都の人口は1405万人なので、人口比から換算すると東京で2294人の感染者が確認されたのと同じ規模ということになる。
 そのいっぽう、ワクチン接種も進んでいるようだ。岡大でも、毎日、接種会場に学生や教職員が足を運んでいるようだ【こちらに案内ページあり】。


2021年8月19日(木)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「なぜ人は怒る?」

 昨日に続いて、8月13日(金)に初回放送された、NHK「チコちゃんに叱られる!』の感想と考察。

 本日は、
  1. なぜネクタイをつける?
  2. ブドウに付いている白い粉ってなに?
  3. 消せるボールペンで書いた文字が消えるのはなぜ?
  4. お茶は緑色なのになぜ茶色という?
  5. なぜ人は怒る?
という5つの疑問のうち、最後の5.について考察する。

 番組では「怒り」について「行動を起こしやすくするためのエネルギーを生み出してくれる」と説明された。怒りの感情は、自分にタイする障害や問題を取り除こうとする行動のエネルギーになっており、それに加えて実際に物理的なパワーを生み出すこともできるという。イギリス・バンガー大学で行われた「感情と身体能力について」という実験では、楽しみ、怒り、普通という3つの感情が生じているもとで脚の力を比較したところ、怒りの状態の時が最も高いことが示されたという。これに基づいて、カンニング竹山さんが被験者となって、喜び、悲しみ、怒りが生じるような動画を見せて、それぞれの状態のもとでの握力を測定したところ、
  • ふだんの状態では40.2kg
  • 竹山さんが喜ぶような動画を見せたあとでは41.7kg
  • 絶対に泣ける動画(「天国のハリー」)を見せたあとでは39.4kg
  • 竹山さんを怒らせるような動画を見せたあとでは46.8kg
となり、怒りの状態の時にもっとも強い力が出せることが実証された。もっとも、この傾向が一般化できるのであれば、スポーツの対戦では、より怒りを高めることで強い力が出せるようになるような気がする。




 「怒り」あるいは「怒る」については、これまでにも各種の雑学系番組で取り上げられてきた。
  • チコちゃんの番組では2021年5月15日に、「怒る」と「叱る」の違いについて言及された。これ以外の回でも取り上げられたような記憶があるが未確認。なお、ウィキペディアでは、今年の初め頃に、一部の編集参加者のこだわりにより、放送リストが一方的に削除され資料的価値が失われてしまったが【←私は大いに怒っているぞ】、今回ネットで検索したところ、

    各回放送内容・放送日別一覧

    というありがたい資料が公開されていることが分かった。そのリストをざっと検索した限りでは、怒りに関する話題は他には無かった模様である。

  • 又吉直樹のヘウレーカ!【同じウィキペディアだが、チコちゃんと異なり、こちらにはちゃんと放送リストあり】では、2019年10月2日に、

    ●「この“怒り”をおさめるには?」

    という話題が取り上げられており確かに視聴した記憶があるのだが、このWeb日記のほうに備忘録を残しておかなかったため内容はすっかり忘れてしまった。



 「なぜ人は怒る?」については、
  1. 進化の過程(系統発生的観点)で、怒りという感情はどのように備わってきたのか。
  2. 系統発生的にみて、怒りにはどのような適応的メリットがあるのか。
  3. 赤ちゃんはどの段階で「怒り」の感情を身につけるか(個体発生的観点)
  4. どのような条件が揃った時に「怒り」が生じるのか。但しこれには個体差があり、全く怒らない人もいる。
  5. 怒りはどのような生理的変化をもたらすのか。それはどのようなメリット、デメリットをもたらすか。
というようなそれぞれの観点からの説明が必要であろう。今回の番組は、単に「怒った状態では強い力が出せる」ことを示しただけに過ぎず、「なぜ?」に対する答えとしては甚だ不十分であった。

 なお、ウィキペディアにはより詳しい内容がある。興味深い点は、
  1. 三木清は、怒りを肯定的にも捉えた。『人生論ノート』に「怒について」という章をもうけてこれを論じている。彼は怒りが否定的に捉えられている現状を認めつつ、以下のようにこれを批判している。彼は怒りが憎しみと混同されていることを問題視する。両者は確かに似たものではあるが、憎しみが極めて個人的な負の感情であるのに対して、怒りは常に突発的なものであり、それだけに純粋な、より深いものであるとする。
  2. 大島渚は「いまの日本人は怒らなすぎる。僕は怒らない日本人に怒っている」とテレビのニュース番組で述べたことがある。
  3. 岩波の生物学辞典では「怒り」という項目は立てられていない。南山堂の医学辞典でも「怒り」という項目は立てられていない。
などなど。

 いずれ、ヒューマニエンスあたりで詳しく取り上げてもらえればありがたい。