じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



09月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る



 9月10日のNHKローカルニュースによれば、緊急事態宣言が解除されることを受けて、岡山市は、市民会館や公民館など一部の施設の使用を、9月13日から再開することを決めた。しかしながら「半田山植物園などの観光施設や岡山ドームなどのスポーツ施設、それに各地の児童館などあわせて101の施設については「感染のリスクが避けられない」として休館などの措置を続けます。」とのことで、半田山植物園の臨時休園は「9月12日まで」から「9月30日まで」に変更された【写真上】。
 しかし、上掲の記事の「半田山植物園などの観光施設」という表現は明らかにおかしい。この植物園は、「博物館相当施設」であり【写真下参照】、「自然観察施設」、また高齢者にとっては「健康増進施設」でもある。ソメイヨシノの季節を除けば、平日の夕方の入場者数は数人程度であり、公道で人とすれ違うよりも遙かにまばらである。
 今回の臨時休園は、おそらく、園を一度も訪ねたことがなく、植物園の存在意義を理解できていないお偉方が、事なかれ主義的に決定したものと思う。「【開園すると】感染のリスクが避けられない」と言えるのかどうか、ちゃんと調査した上での決定とは到底思えない。

2021年9月12日(日)



【連載】#チコちゃんに叱られる!「弁当」「アカペラ」「青森の自由の女神」「再放送の柿の種」

 9月10日(金)に初回放送された、NHK「チコちゃんに叱られる!』の感想と考察。

 オリンピック・パラリンピックの中継などのため、約1カ月ぶりの放送であり、
  1. お弁当はなぜ「弁当」?
  2. アカペラってどういう意味?
  3. (コロナ禍の働き方改革のコーナー)神秘の国 青森には自由の女神もある
  4. (チコっと特別編)柿の種はなぜこの形?
という話題が取り上げられたが、私個人としてはあまり面白くなかった。何度か書いているように、私が興味をひくのは「なぜ○○は起こるのか?」といった物事の原因に関する疑問であり、今までの思い込みとは異なる意外な説明がなされたときに「へぇー、そうだったのか!」と驚くような内容であった。いっぽう何かの呼称の由来、今回で言えば「弁当」とか「アカペラ」の由来については、あまり興味がわかない。どんな言葉も、それが誕生した時代と現在の用法にはズレがあって当然であり、昔はこうだったんだよと言われても、「あっ、そう。」という程度にしか反応できない。歴史的な変遷をたどること自体にはそれなりの意義があるとは思うが...。

 今回の放送でもう1つ納得がいかなかったのは、4.の「柿の種はなぜこの形?」であった。この話題は、2020年3月13日の放送で取り上げられており、完全な再放送であった。今回の番組の中では「ここで、チコっと特別編。視聴者の皆様からの反響がとても大きかったチコちゃんからの質問です。」という形で、右下には2020年3月13日放送という小さな字幕が出ていたが、部分的に再放送で取り繕っているという感は否めなかった。オリパラによる休止で十分な製作期間があったはずなのに、どうしたことか。緊急事態宣言のもとで取材ができなかったというのであれば致し方ないが。




 ということで元の話題に戻るが、1.の「弁当」については、「弁当」=「便利」だから、と説明された。日本では古墳時代には「糒(ほしい)」、平安時代には「屯食」というものがあったが、「弁当」という呼称自体は12世紀頃に中国でできた言葉で最初は「便当」と書かれていた。「便当」が「弁当」と書かれるようになった経緯ははっきりは分かっていないという。なお、弁当の由来については、一人前の食事を入れる曲げ物の容器「面桶(めんつう)」が「めんとう」、さらに「べんとう」になったという説もあるという。

 2.のアカペラについては、イタリア語でatを意味する「ア」と、chapelを意味する「カペラ」が由来であると説明された。教会で歌われるグレゴリオ聖歌はもともとシンプルであったが、その後複雑な聖歌が登場。さらに宗教改革などをへて、聖歌から楽器を排除するというセシリア運動が起こり、無伴奏の聖歌を「ア・カペラ」と呼ぶようになった。

 3.の「自由の女神」は、ウィキペディア掲載の通りである。本家自由の女神像の4分の1の大きさで、制作費は竹下登内閣時代のふるさと創生資金によるという。番組によれば、もともとは八戸市で、同じ緯度にあるニューヨーク市にちなんで自由の女神を建てようとしたが、ニューヨークの緯度である北緯40度40分は八戸ではなく、その北にある旧・百石町(現在のおいらせ町)であったことから現在の位置に立てられたという。
 この話題で若干気になるのは、女神像の著作権がどうなっているのかという点だが、おそらくすでに期限切れとなっているのだろう。あと、「女神」と呼ぶからには宗教的な崇拝対象にはならないのか、だとすれば税金を投じて複製してもよいのか、という問題が起こる。これが女神ではなくて、観音像、大仏、あるいはキリスト像であったとすると社会問題になりそうだ。

 ちなみに、この像の建設資金となったふるさと創生事業だが、この政策が有効に働いた例としてはどのようなものがあるのだろうか。こちらのリストを見ると、有効に機能しているものがある一方、中には「純金製・純銀製のこけし二体を制作。のち二体を二億円で売却」、「村営キャバレー。赤字がかさみ閉鎖」、「そのまま預金。15年間で6,000万円の利子所得を得た。」、「純金のカツオ像。のちに県に売却後、盗まれて溶かされた」というように、いかにもバブル時代を象徴するような事業や、首をかしげたくなるような事業も含まれている。そういう中では、おいらせ町の自由の女神像は、それなりに成功した事例であるかもしれない。

 4.の「柿の種」については、再放送であり、2020年3月15日の日記参照。