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岡大構内で見かけたマメアサガオ(豆朝顔)。名前の通り花は小さいが、蔓はよく伸び、繁殖力も旺盛。 |
【連載】新型コロナとABO血液型(4)「免疫学からみた血液型と性格」(2) 昨日に続いて、藤田紘一郎先生が『心理学ワールド46号』(2009年7月)に寄稿された、 『巻頭随筆 ことばの森 免疫学からみた血液型と性格(2009年7月)』 に関する考察。 これまで何度も指摘したように、「X型者にはQという傾向を持つ人が多い」ことと、「あなたはX型者だからQという傾向を持つ」ということは同一ではない。ところが、血液型喧伝者、あるいは血液型性格判断をネタにして本を売ったり視聴率稼ぎを目論む人たち(←大村政男先生の言葉をお借りすれば「血の商人」たち)は、少数サンプルや、政治家、スポーツ選手、芸能人などの血液型分布で偏りが見られた部分だけを誇大に取り上げて、「X型者は○○、Y型者は××」というように吹聴する。もちろん、そういう話題が人気を集めやすいことには理由がある。人々は、初対面の人に会う時など、相手の人がどんな性格であるかを事前に知りたがる。ABOというたった4種類の血液型だけで相手の性格を事前に知ることができればまことに便利。また自分の性格を知りたいと思う時にも、とりあえずそれらしき予測をしてくれる。本当は、他の血液型でも当てはまりそうな曖昧な予測しかしていないのだが、いったん信じ込んでしまうと、血液型性格判断の予測のうちピッタリ当たった部分だけに注意を向けるようになり「やっぱり当たった」と、ますます確信してしまうのである。 「あなたはX型者だからQという傾向を持つ」という予測が有用であるのは、「あなたはX型者であるかどうか分からない」という状態の時に比べて、「あなたはX型者である」という情報を得た時のほうが「Qという傾向を持つ」という予測が大幅に当たる場合に限られる。しかし、藤田先生が説いておられるような免疫力の差は、医療現場で血液型別の対応に迫られるほど顕著ではないように見える。例えば藤田先生は「A型者は、肺結核、癌、糖尿病、心筋梗塞など、いろいろな病気にかかりやすい。」と指摘されたが、現実には、A型者だけに配慮した医療体制はとられていない。むしろ、血液型信奉者たちによって、そういった「微々たる差」が誇大に喧伝されると、「肺結核、癌、糖尿病、心筋梗塞にかかりやすいA型者とは結婚したくない」といったような差別・偏見をもたらす恐れがある。要するに、血液型がどうあれ、肺結核、癌、糖尿病、心筋梗塞にならないように日頃から健康管理をすればそれで良いのだ。 ここまでのところで、「X型者にはQという傾向を持つ人が有意に多い」というデータが得られても「あなたはX型者だからQという傾向を持つ」という予測には必ずしも有用ではなく、差別・偏見を助長する恐れのほうが大きいと、繰り返し述べてきた。しかし、だからといって、「X型者にはQという傾向を持つ人が有意に多い」というデータ自体が無意味だと言っているわけではない。何らかのバイアスがかからず、かつ、結果を左右するような別の諸要因の影響を取り除いたうえで、統計的に有意な差が得られた時には、何らかの大発見の手がかりになる可能性がある。 例えば、9月17日の日記に引用させていただいたが、もし、O型者とB型者が新型コロナに感染しにくいというデータが確実に得られた場合には、その差がきわめて僅差であったとしても、そこから、 ●O型者とB型者が持っている「抗A抗体」は、新型コロナとACE2の結合をある程度邪魔する働きがあるのではないか? という仮説を立てることができる。この仮説が証明されれば、「抗A抗体」の性質を十分に解明した上で、どの血液型でも摂取可能な新しいタイプのワクチンを作ることができるはずだ。 ABO血液型の違いによって、ある傾向(免疫力、あるいは何らかの行動傾向)に有意な差が見られるかどうかという調査は、このような、未知のメカニズムを発見し応用に役立てるという点では大いに意義深いと思う。反面、
次回に続く。 |