じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 岡大_本部棟前(岡大西門南西側)のハクモクレンが一斉に開花した。何年か前に強剪定が行われ、その後、殆ど花をつけない年もあったがようやく元の規模に復活した。例年、卒業式の日(3月25日)に一番の見頃となる。

2022年3月23日(水)



【連載】ヒューマニエンス「“天体のチカラ” 絶滅と進化のインパクト」(1)月のチカラ?

 2021年12月16日に初回放送された表記の番組についての備忘録と感想。「妄想」も多かったものの、いっけん全く無関係に思われる天体と進化の関係がわかりやすく解説されており、興味深い話題が満載されていた。

 ちなみに、天体と進化の関係で私が最近耳にした話題としては、

サイエンスZERO「月が教えてくれる!? 地球と生命“共進化”の謎」

があった。その中では「およそ8億年前に隕石が大量に落下して地上のリン濃度が増え、多細胞生物の進化が促された」という仮説が提案されていたが、今回の放送では全く触れられず、別の可能性が紹介されていた。このほか、月を原因とする潮の干満がいろいろな生物に影響を与えていることはしばしば耳にしているが、今回も関連する話題が取り上げられていた。

 今回の放送でまず取り上げられたのは、地球上にもたらされた酸素と、月の引力との関係である。地球の酸素は、30億年前に誕生したシアノバクテリアによってもたらされたが、当時の地球はわずか6時間で自転していたため、昼夜の交代が速すぎて十分な酸素を作ることができなかったという。しかし、月の引力にもたらされる干満によって地球の自転はしだいに遅くなり、25億年前には1日が18時間程度まで延びる。これによって、毎日3時間ほどかけて海面近くに浮上していたシアノバクテリアは、浮上後により長い時間酸素を作ることができるようになった。実際、大気中の酸素は、18億年前から急上昇していることを示している。

 なお、2月28日の日記にもメモしたように、大気や海中の酸素濃度は、火山活動、海岸線の増減、光合成生物の増減など、いろいろな要因によって変化しており、単純に地球の自転の変化だけで説明できるわけではないように思う。

 次に紹介されたのは、月のチカラが植物の成長にも影響を与えているという実験(トヨタ紡織_新領域開拓部)であったが、話を聞いた限りでは、少々疑わしい内容であった。実験では、人工光のみでレタスを栽培。
  • 通常栽培条件:毎日午前0時に明かりをつけ午後4時に消灯(昼16時間、夜8時間)
  • 月のチカラ条件:夜の長さは通常栽培条件と同じ8時間だが、その時間帯を満潮に合わせている(満潮の時刻より遡って8時間が夜)。
要するに、「月のチカラ条件」では夜の時間帯が1日50分ほど後のほうにズレていき、数日後には昼夜逆転する。この栽培条件を続けたところ、「月のチカラ条件」のレタスのほうが2割ほど大きくなることが示された。なお、レタス以外では、トマトは花が増えるが、豆類や春菊は影響なし。また月のリズムに合わせて給餌したスッポンは通常の1.6倍に成長したという。

 放送でも指摘されていたように、レタスが2割ほど成長する原因としては次の3つの可能性がある。
  1. 月の何らかの直接的な影響。例えば重力の可能性。
  2. 月のリズム(サイクル)による影響。
  3. 月は全く関係無い。単なる照明の変化が原因。
 私自身は今のところ3.の可能性が高いように思う。「月のチカラ」条件のレタスは、夜の時間帯が毎回50分ほどズラされていくということは、そのぶん、昼の時間帯が50分ほど長いことを意味する。照明時間が長ければそのぶんだけ光合成が行われるので成長も早くなる。トマトも同様。豆類や春菊の場合は、日照時間が多少短くても影響は受けない。スッポンの場合は、おそらく、餌を与える時間間隔が延びたことでそのぶん飢餓状態が長くなり、食欲が増えたり、吸収が促進されたものと思われる。人間でも、24時間周期でなく24時間50分周期で食事をした時のほうが太るはずだ。

 あと、潮汐は確かに月の影響を受けるが、実際には月ばかりではなく、太陽と月の位置関係によって決まる。純粋な月の影響というのは月の満ち欠けによる夜の明るさの変化だけではないかという気もする。

 次回に続く。