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津山線沿いのセイヨウカラシナ。かつて線路沿いにたくさん繁茂していたが、最近は除草剤がかけられて、撮影ポイントが限られてきた。 |
【連載】引っかかりやすい確率問題:モンティ・ホール問題の変形 チャンネル登録させていただいているナゾトキラボのコンテンツの中に ●数学が得意な人ほど間違えるパラドックス・確率問題【IQテスト】(2019年1月24日) という興味深いナゾトキがあった。 以前どこかで聞いたような問題ばかりであったが、私自身の考えを含めて、備忘録として残しておくことにしたい。 まず最初の問題は、 ジョーカーを抜いた52枚のトランプがある。この中から1枚を取り、表を見ないで箱の中にしまった。次に、このカードの山から新たに3枚のカードを抜き取ると、全てダイヤであった。このとき、箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか。というものであり、数学が得意な人は、「52枚の中から13枚のダイヤを含む状態で箱の中に控えたのだから、箱の中にダイヤが入る確率は13/52=1/4となる。その後にどんな操作を加えても、最初の確率が変わることはないので、1/4」と考えるであろう。しかし、正解は10/49であり1/4より小さくなる。この問題は、モンティ・ホール問題と本質的に同じであるとも解説された。 モンティ・ホール問題については、このWeb日記でも
●「確率の大きさは、視点と獲得している情報によって変わる」 というものであった。 例えば、壺の中に3個の玉が入れられており、そのうち1個が当たり、残り2個は外れであったとする。3人がこのクジに参加する場合、玉を取り出す順番による有利不利はない。この時点では1番目の人も3番目の人も、当たる確率は1/3である。しかし、クジが進行し、1番目の人が外れた場合、2番目の人が当たる確率は1/2となる。2番目の人が外れた場合は、3番目の人が当たる確率は1.0となる。【しかし、だからといって3番目が有利というわけではない、2番目までで当たりが出た時は、3番目の人は玉を取り出すまでもなく確実に外れとなる。】 元の問題に戻るが、「52枚の中から13枚のダイヤを含む状態で箱の中に控えたのだから、箱の中にダイヤが入る確率は13/52=1/4となる。その後にどんな操作を加えても、最初の確率が変わることはないので、1/4」というのは、間違った判断である。「変わらない」のは箱の中のカードの色が変わらないだけであって、それがどういうスーツ(スート)であるかを推論する際の確率は、得られている情報によって変化するのである。元の問題の「このカードの山から新たに3枚のカードを抜き取る」という操作を行った段階では、3枚のカードは、
もっと極端なケースとして、以下のように問題を書き換えたとする。 ジョーカーを抜いた52枚のトランプがある。この中から1枚を取り、表を見ないで箱の中にしまった。次に、このカードの山から新たに13枚のカードを抜き取ると、全てダイヤであった。このとき、箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか。この場合、ダイヤのカードは全部で13枚しか無いので、箱の中にしまったカードがダイヤであることはあり得ない。確率問題というより論理的な推論と言うべきかもしれないが、いずれにせよ、箱の中のカードがダイヤであるかどうかという確率はゼロとなる。 ところで、元の問題を以下のように書き換えたらどうなるだろうか? ジョーカーを抜いた52枚のトランプがある。この中から1枚を取り、表を見ないで箱の中にしまった。次に、このカードの山からダイヤのカードを探して3枚を抜き取った。このとき、箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか。元の問題では3枚のカードは無作為に抜き取られていたのに対して、このケースでは、残り51枚の中からわざわざダイヤのカードを探して抜き取っている。この操作は、残り51枚のスーツの数について何の情報も与えていないので、箱の中のカードがダイヤである確率は1/4のままで全く変わらない。 但し、 ジョーカーを抜いた52枚のトランプがある。この中から1枚を取り、表を見ないで箱の中にしまった。次に、このカードの山からダイヤのカードを探して13枚を抜き取った。このとき、箱の中のカードがダイヤである確率はいくらか。とした場合は、「残り51枚の中にダイヤのカード13枚がすべて残っていた」という意味となり、箱の中のカードがダイヤである可能性を否定する情報となる。 次回に続く。 |