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時計台前の鬱金桜。かつては枝ぶりよく、華やかに咲いていたが、その後樹勢が衰え、2014年頃には主要な幹が朽ち果ててしまった。その後脇芽が成長し、もとの華やかさを取り戻しつつある。人間ではあり得ない、桜ならではの生命力が感じられる。 |
【連載】abc予想証明をめぐる数奇な物語(1) 4月10日、NHK-総合で ●NHKスペシャル「数学者は宇宙をつなげるか?abc予想証明をめぐる数奇な物語【ブログ後編はこちら】 が放送された。なおこの放送は59分版であるが、4月15日の23時からは90分の「完全版」が放送される予定となっている。完全版放送を前に、私の理解できている点をまとめておくことにしたい。 abc予想については、このWeb日記でも、
もっとも上記の内容は、足し算と掛け算の違いについて私の素朴な感想を述べた程度であり、abc予想の本質的な意義について理解できるレベルには到底達していなかった。 今回の放送内容も一般向けのレベルにとどまっており、素人の私が理解できる範囲もごく限られているが、それでもなんとなく、何が言いたいのかということは分かってきた。 まず、足し算と掛け算の違いは、素因数から理解できるようである。放送では素因数のことを『遺伝子』に喩えていた。a×bという掛け算では、その結果cは、aとbの「遺伝子」(=素因数)を引き継いでいるのだが、a+bの結果cがどのような「遺伝子」を持つのかは、aやbの遺伝子からは全く予想がつかない(とされてきた)。 このことに関連するが、番組に登場されたワルドシュミット博士(ソルボンヌ大学名誉教授)は、 数学に、簡単に解くことができない「難問」がたくさんあるのは、数学の世界に、かけ算だけでなく、遺伝子を破壊してしまうたし算が存在しているからだ。というのは、なるほどそうだと思った。フェルマーの最終定理は、 xn+yn=zn となるような整数x、y、zの組は存在するか?というような問題(x、y、z、nは自然数で、n≧3)であったが、上記の式の足し算の部分を、 xn×yn=zn というように掛け算に置き換えると、答えは簡単になる。 では、足し算では、aとbの遺伝子(素因数)からcの遺伝子(素因数)の形を予言することは全くできないのか?そのことに道を開いたのがabc予想であるという。これを単純化すると、 c/rad(c)<rad(ab) という形になる、放送ではrad()については詳しく言及されていなかったが、ウィキペディアでは、 自然数>nに対して、nの互いに異なる素因数の積を n の根基 (radical) と呼び、radと書く。以下に例を挙げる。というように説明されており、それほど難解ではない。 次回に続く。 |